やちむん(沖縄の言葉で「焼き物」のこと)は、琉球王国の時代から続く歴史ある伝統工芸品。沖縄の家庭でも茶碗や皿などの日用品として使われているほか、素朴で温もりを感じる風合いで沖縄旅行のお土産としても人気です。
沖縄本島の窯元としては、那覇市の壺屋と、そこから分かれた読谷村(よみたんそん)座喜味(ざきみ)にある「やちむんの里」が有名です。今回は、読谷村のやちむんの里にスポットを当ててみましょう。
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読谷やちむんの里の歴史
読谷村のやちむんの里には6つの窯と19の工房があります。さらにこの里を中心に多くの陶工たちが集まり、村内に50余りの窯元があります。
1682年に琉球王朝は陶業の発展のために沖縄各地にあった窯場を壺屋に集めました。最盛期には30を超える登り窯があったといわれています。
ところが1970年代に住宅地への煙による公害問題が起こり、薪を燃やす登り窯からガス窯などへの変更をしなければならなくなりました。
1972年、登り窯に強いこだわりがあった故・金城次郎さん(1985年に沖縄県内初の人間国宝に認定)は壺屋から読谷村へ工房を移し、登り窯を築きました。読谷村には1670年頃に喜名焼と呼ばれる焼き物があり、土壌も適していました。
そして1980年には陶工4人(大嶺實清さん、金城明光さん、玉元輝政さん、山田真萬さん)が「読谷山焼共同窯」を築きました。
この窯でできた焼き物を読谷山焼(ゆんたんざやき)と称し、この登り窯を中心として「やちむんの里」が形成されました。
1992年には読谷山焼の各工房で修業をして独立した4人(松田米司さん、松田共司さん、宮城正享さん、與那原正守さん)が沖縄県内最大級の13連房の登り窯の「読谷山焼北窯」を築きました。
やちむんの里のシンボルでもある登り窯は、斜面を利用して階段状に9つの窯室が連なり、一番下の窯で薪を燃やすと上の窯へ炎の熱が段々と登り、全体に行き渡ります。
やちむんの種類
読谷やちむんの里では、壺屋焼と同じく、「荒焼(アラヤチ)」「上焼(ジョーヤチ)」があります。
「荒焼」は南蛮焼とも呼ばれ釉薬(ゆうやく)をかけずに約1,120度で焼成された焼き物です。 土の風合いを生かした壺や水瓶など大きいものが作られます。
「上焼」は釉薬を使って約1,200度で焼成した焼き物です。焼き方によってさまざまな色が出せ、食器などが作られます。
やちむんの技法
読谷やちむんの里の各工房でも壺屋焼の技法を継いでいるので基本的には同じですが、従来のスタイルにとらわれず、それぞれ独創的な作品作りが行われています。
特に有名な技法に「魚文線彫り」があります。これは故・金城次郎さんが好んだ技法で、魚などをU字に加工した細い針金を使って描く技法です。金城さんの描いた魚は笑っているようだといわれました。現在、金城さんの弟子たちはそれぞれ独自の魚文を描いています。
家庭で使いたい、おすすめのやちむん
●大皿
大皿はやちむんの絵柄が楽しめる定番品です。琉球料理を盛り付ければ沖縄気分が味わえます。
●マカイ(お椀)
毎食使うお茶碗として使えばご飯がおいしくい食べられます。
●マグカップ・カップ
コーヒー、紅茶も味わい深く楽しめます。
●ビアグラス・ジョッキ
各工房ではビールにて適したさまざまなやちむんがあります。大きさや柄、形、デザインなど、陶器を楽しみながら味わうビールは、いつもと違うひとときになるでしょう。
読谷やちむんの里の楽しみ方
やちむんの里では登り窯や工房の作業を見学することができます。工房はギャラリーを兼ねている所が多く、実際に手に取ってみることも可能です。共同売店やショップが併設されたカフェも多くあります。そこでは、やちむんの器で盛られた料理を提供するところもあり、気に入ったやちむんがあれば購入することもできます(営業時間・定休日は各工房によって異なるので、直接お問い合わせ下さい)。
読谷やちむんの里では、伝統的なものから独創的なものまで、よりどりみどりのやちむんが作られています。ぜひ沖縄旅行の際に訪れて、お気に入りの一品を見つけてください。
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