「八重山ミンサー」いつの世までも、という思いをのせた伝統の織物

沖縄の海の色を思わせる美しい八重山ミンサー/©OCVB

八重山ミンサーとは、竹富島や石垣島で生み出される伝統工芸品。ロマンチックな恋心を織り込んだ、「いつ(五)よ(四)」の絣柄は、ドラマ「連続テレビ小説『ちゅらさん』」(NHK)を通じて全国的にも有名になりました。この記事では、そんな八重山ミンサーについて、歴史や特徴、工程から、お土産におすすめの雑貨まで紹介していきます。

八重山ミンサーの歴史

「あざみやみんさー工芸館」では、作品の展示などを見学しながら八重山ミンサーについて学ぶことができます/©OCVB

八重山ミンサーとは、石垣市や竹富町で生産される、木綿素材で平織りの織物のこと。近年まで竹富島にあった、藍一色の「ミンサーフ」という帯が原型であるといわれています。

その起源は定かではありませんが、17〜18世紀頃の琉球王朝の時代に、木綿発祥の地ともいわれるインダス川流域から伝来したと推定されています。琉球王朝は多くの国と交易を行っていましたので、日本や中国、朝鮮や南方諸国から技法、素材、色、デザインなどを取り入れながら、沖縄独自の特徴が生まれたようです。

八重山ミンサーの特徴は木綿糸を使って織る「たてうねり織」で、稿と絣の柄が使われていることです。もともと普段着の帯として竹富島を中心に織られていたもので、ミンサーの「みん」は「綿」、「さー」は「狭」を表しているといわれています。

藍染の木綿糸が使用され、柄は手括りで作られます。紺と白の色の対比も特徴的で、染料には琉球藍などが使用されていましたが、現代では化学染料なども使用されています。

ミンサーの柄には深い意味がある

五と四の絣模様。最近では、海や雲などを表す新たな模様が入ったものもあります

八重山ミンサーは、かつて通い婚が主流だった八重山地域で婚礼の“しるし”として女性から男性へ贈られるものでした。「五」と「四」をデザインした絣模様の両側には細長い線の縁取りがあり、「いつ(五)の世(四)までも、足繁く通ってください」という花嫁の願いを表現しているといわれています。

現代の沖縄でも「いつの世までも、末永く幸せに」という意味を込めて、プレゼントや結婚式の引き出物などに使用されることがあります。

八重山ミンサーができるまで

竹富島や石垣島で職人さんが一つ一つ丁寧に織り上げています

八重山ミンサーができるまでにはさまざまな作業が施されます。工程を追いながら見ていきましょう。

●経巻作業(織物製造の準備)完了までの工程

1:精錬(せいれん)・漂白
糸に付いている汚れなどを取り除き、染色の発色が良くなるように洗浄や漂白を行う

2:染色
経地糸、縦絣糸、緯糸に分けて染色する

3:糸繰り
色糸、白糸を紙菅に巻き取る

4:整経
必要な経糸の本数や長さを整える

5:糊付けと張り伸ばし
絣括り(かすりくくり)をやりやすくするために、糊をつけて張り伸ばしを行う

6:絣括り(かすりくくり)
「5」の工程を施した糸を図案通りにしるしをつけて、手括りしていく

7:絣解き(かすりとき)
絣括り糸を切って解く

8:仮筬通し(かりおさどおし)
経糸と地糸の割り込みをする

9:巻取り
経糸の張力を一定に保ちちぎり箱に巻き取っていく

●織作業完了までの工程

10:綜絖通し(そうこうどおし)
巻き取った経糸を機にのせて、綜絖(そうこう)に通す

11:筬通し(おさどおし)
「10」の作業を施した経糸を筬(おさ)に通す

12:糸繰り
色糸と白糸をボビンに巻き取る

13:管巻き
緯糸を、管巻きを用いて小管に巻き取る

14:製織(せいしょく)
木製の高機で手織り製織する

ミンサーの雑貨はお土産にもおすすめ

日常を華やかにしてくれるコースターと名刺入れ

沖縄を代表する伝統工芸品の八重山ミンサーの雑貨は普段使いのアイテムはもちろん、お土産やプレゼントにもおすすめです。

手頃な価格で使いやすいのは、コースター。1枚500〜1,000円ほどで購入でき、コップを置くだけではなく花瓶などの下に敷いてもきれいです。女性にはポーチやカバン類も人気がありますよ。名刺入れや髪留めなどなら、日常に「沖縄」をさりげなく取り入れられます。

ちょっと奮発するなら帯はいかがでしょうか。色が鮮やかなものを選んで、浴衣に合わせても素敵です。番外編になりますが、ミンサー織りの五と四の絣柄があしらわれたマスキングテープもお土産に人気です。 八重山ミンサーの雑貨を購入するなら、石垣島だと「みんさー工芸館」、沖縄本島なら国際通りにある「那覇市伝統工芸館」や「わしたショップ国際通り店」などの店舗を覗いてみてください。品ぞろえも豊富で、見ているだけでも楽しいですよ。

あざみやみんさー工芸館
那覇市伝統工芸館
わしたショップ国際通り店

八重山ミンサー織を実際に体験してみよう

展示販売だけでなく体験プログラムも開催している「みんさー工芸館」/©OCVB

八重山ミンサー織は実際に体験することもできます。商品が購入できる店として紹介した「あざみやみんさー工芸館」などで開催されていますので、気になる人は予約をしてから出掛けてください。コースターやテーブルセンターなどを作ることができます。

参考サイト:みんさー工芸館工芸ジャパン

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