2021年2月、オリオンビールは西表島(いりおもてじま)の自然と文化を継承していくためのプロジェクト「Us 4 IRIOMOTE(アス・フォー・イリオモテ)」とのコラボレーションで、オリジナルラベルの「ザ・ドラフト」小瓶やチャリティーTシャツなどを公式通販限定で販売します。
この「Us 4 IRIOMOTE」プロジェクトは、アウトドア・フットウェアブランド「KEEN」が中心になって動き出したもの。
KEENは、2003年にアメリカにて創業し、アウトドアフィールドにおける靴のブランドとして人気ですが、その企業活動の中で、CSR活動にも力を入れています。KEENの沖縄での活動は、そのCSR活動の一環。そこで、KEEN JAPANでCSR活動を表す「KEEN EFFECT」を担当する井上泰子(いのうえ・やすこ)さんにお話を聞きました。
KEENと西表島のはじまり
そもそもKEENがCSR活動に力を入れている理由は、“アウトドアに対する責任”から生まれたそうです。
「アウトドアライフのために生まれたKEENは、自分たちが暮らし、遊び、働く場所を守る責任があると考えています。地球の全ての場所を、見付けた時よりも美しくして去る。世界を少しでもポジティブに変えたいという思いが根底にあります」と、井上さんがKEENの想いを語ってくれました。
世界中のNPO団体と共に自然保護や災害支援などさまざまな活動を展開していく中で、KEENは沖縄の西表島に注目するようになります。
「本当に素晴らしい自然が残っている島ですが、観光客の増加や観光スタイルの変化が、島の自然環境や島民の生活に少なからず悪影響を及ぼすようになったということを聞きました。例えば、共通ルールがない中での自然体験ツアーの乱立、無許可の入山等による植生や生態系へのダメージ、ツーリストのモラル低下によるマナー違反などです。そして、100頭しか残っていないといわれる西表島の固有種・イリオモテヤマネコですが、ツーリストの増加だけが原因ではありませんが、法定速度オーバーによる、その交通事故も頻発していること。世界中の海洋ごみが、海岸にたくさん漂着して、取っても取ってもなくならないことなどを見て衝撃を覚えました」と、西表島への活動のきっかけは、地元の人たちとの交流から得られた島の危機感でした。
「Us 4 IRIOMOTE」で西表島を支援
西表島は世界自然遺産の候補地に選ばれています。今後、世界自然遺産へ登録されると、さらに多くの観光客が来ることが予想される中、KEENは「この島の素晴らしい文化と自然を継承するために、旅行者の立場から何かアクションを起こせないか」と、「Us 4 IRIOMOTE」という名前で支援活動に乗り出します。
この「Us 4 IRIOMOTE」は、「知ろう」「守ろう」「話そう」「残そう」の4つのキーワードを軸にした、企業、団体の枠組みを超えた取り組み。具体的には、「Us 4 IRIOMOTE」の基金を設立して西表島で活躍するNPO団体の支援に役立てているほか、イリオモテヤマネコをモチーフにしたスニーカー「UNEEK EVO(ユニーク・エヴォ)」やTシャツなどチャリティーグッズの販売、美しい西表島の四季をキャプチャーするドキュメンタリー映画「Us 4 IRIOMOTE Movie」の製作などを行なっています(2021年7月に一般公開予定)。
今では「Us 4 IRIOMOTE」プロジェクトの旗の下にさまざまな企業の協賛も集まり、ネットワークが広がっています。その結果、イリオモテヤマネコを保護する団体の活動を支援したり、ビーチクリーンを行う団体さんへ軽トラックを寄付したり、ビーチの小さな『マイクロ・プラスチック』と呼ばれるゴミを楽しみながら拾うプロジェクト『530アートプロジェクト』なども開始。ますます活動の幅が広がっています。
KEENの揺るがない原点とは
西表島での活動を始めてもうすぐ3年目を迎える中、井上さんたちの思いは、しっかりと原点を見つめています。
「この素晴らしい島の自然・文化を次世代に継承していきたいという思いは、スタート当時から変わらないものです。そのために何ができるか考えた時に、やはり、一人でも多くの方にこの島に思いやりの気持ちを持って来ていただく『エシカル・ツーリズム』という考え方を広く啓蒙していきたいと思っています。一部の人の努力だけでは、守れないものがあるからです。そのためにも、この夏に公開する映画を多くの方に見てもらい、遠く離れていても海でつながっている、西表島の大自然に思いを馳せてもらいたいです」と、島への思いはますます高まっています。
KEEN×オリオンビールの新しい取り組み
2021年2月、オリオンビールとのコラボがスタート。井上さんは「沖縄の象徴ともいえるメーカーとご一緒できたことは光栄な気持ちです。現在、世界的にも環境破壊や汚染、気候変動などが大きな問題になっています。楽しみながら、私たち一人一人のライフスタイルを見直したり、考え、学ぶ機会を一緒に作るなどのコラボレーションをできたらと願っています。この世界的課題を、楽しみながら、前向きに一緒に解決していけると思っています」と今後の展開やオリオンへの期待を語っていただきました。
最後に井上さんたちが見据える西表島の未来を聞いてみました。「私たちはツーリストという立場での活動を展開しているので、いつも『おじゃまします』の気持ちで島を訪れています。そうすると、西表島はいつも深い懐で私たちを受け入れてくれます。こんなすてきな場所を、いつまでも訪れることができるように、旅先への敬意と思いやりをもって旅する気持ちがどんどん広がっていけばと思っています」。
KEENとオリオンビールとのコラボレーションが西表島や沖縄、そして世界の未来にどんな影響を及ぼすのか。それはきっと、沖縄らしい、思いやりにあふれた“エシカル”な未来…。そんな未来に向かって両社の取り組みがスタートします。
関連リンク
KEEN公式サイト
「Us 4 IRIOMOTE」公式サイト