皆さんはトーカチ(トーカチユーエー)という言葉を知っていますか?
トーカチ(トーカチユーエー)とは、日本全国でいうところの米寿(八十八歳)のお祝いで、沖縄では、旧暦の8月8日に数え88歳になる長寿の米寿祝いが行われます。今回は内地のお祝いと異なる由来や祝い方などを紹介します。
※ユーエーは沖縄の言葉で「お祝い」という意味です
トーカチ(トーカチユーエー)とは?
旧暦の8月8日に行われる長寿の祝いで、「米」の字を分解すると八十八になることから“ユニヌイワイ(米の祝い)”ともいわれます。2022年は9月3日がトーカチの日となります。
トーカチとは、元々米の升切りに使う竹の斗搔(とかき)のこと。祝いの日に大きな器に米を盛り、その中にたくさんの斗搔を立てて“あやかり”として、お祝いに来た客に配ったことから、米寿祝をトーカチと呼ぶようになったそうです。
※斗搔とは、米や穀物を升に盛ったときに、升の縁を平らにならすための竹の棒のこと
トーカチの由来
トーカチユーエーはトゥシビーユーエー(年日祝い)とは関係なく、本土の八十八歳を米寿の賀として祝う風習が、沖縄へも入ってきたようです。昔沖縄と密接な関係にあった薩摩からこの風習が入ってきたのでしょう。
また、読谷村(よみたんそん)に伝わる民話でトーカチの由来を知ることができます。
昔、ある夫婦の一人息子が重い病気にかかり、夫婦は息子の命を救おうと2人の神様にあいに行きました。山の中で碁を打っている神様にあい、夫婦が理由を話すと、南の星の帳簿に「息子は十八歳で死ぬ」と書いてありました。
夫婦は何とか助けてもらおうと神様にお願いすると、神様はおいしくて薬になる山羊汁と人の心が分かるという酒(泡盛)を天の神様に供えるようにいい、天の帳簿の十八の上に八を書き足させました。それからは、毎年八月八日に大きなお祝いをしなさいといいました。それが、沖縄のトーカチユーエーの始まりだと伝えられています。
今回は読谷村の民話を紹介しましたが、それぞれの市町村・地域で、少しずつ民話の内容に違いがあります。さまざまな地域のトーカチの民話を読み比べてみるのも面白いです。
かつてのトーカチユーエーは…
昔はユーエー(祝い事)の3日ほど前に、生まれたところのウフガー(産川)、ウタキ、先祖の墓などにメーニゲー(前祝い)として、「いつお祝いを行いますので、滞りなくお祝いができますようにお導きください」という趣旨のお願いをしていました。
かつては年寄りが長生きすると子孫が栄えないと考えられていたようで、祝儀の前日に本人に死装束を着せて仏壇の前で西枕に寝かせ、枕元に枕飾りを供えて祈願をし、親族に泣き真似をさせたといいます。
その儀礼は、“孵化する”といって、人間が再生して生まれ変わることを意味していたようです。また、お土産には、男性にお升か斗搔、女性にクーダ(糸車用竹菅)を配っていたといわれています。
現在のトーカチユーエーの様子
現在では、かつてのユーエーの風習は風化しており、ヒヌカン(火の神)、トゥクヌカミ(床の神)、仏前にビンシーやウチャヌク、ごちそうを供えてお祝いの報告をし、これまでの加護に対し感謝すると同時に今後の健康を祈念します。
この日、親戚縁者を招き盛大に祝い、来訪者は「アヤカーラチ クィミソーリ」(あやからせてください)といって杯を受けます。その後に塩、クッキー、スコンブなどの菓子類を紙に包んでお土産として配ります。
83歳(数え85歳)のトゥシビー祝いやトーカチユーエーの女性の服装は同じで、祝いの着物は紅型模様の着物を羽織ります。下から着る襦袢(じゅばん)は袖と襟(えり)の部分をピンク色に、その上に着る着物は青色でその上の襟の部分をピンク色にした黄色の打ち掛けを着ます。しかし、現在は紅型模様の着物を軽く羽織るか本人の好きな服装などで祝いの席に立つ人が多いようです。
また、最近ではホテルなどを会場にして、余興や司会者を準備し、盛大に祝いの場を設ける家族もあります。
今回は沖縄のトーカチユーエーを紹介しましたが、内地の88歳のお祝いと比べるとだいぶ異なるのではないでしょうか?
このように沖縄には独特な風習が数多く存在するので、沖縄の歴史や文化に触れたい人は、いろいろと調べてみても面白いかもしれません。
参考図書:御願本の決定版!!年中行事と御願(高橋恵子著、沖縄時事出版)
参考サイト:かりゆし沖縄ブログ:【長寿祝い一覧表】米寿・喜寿・古希・還暦等、沖縄メモリアル整備協会 トーカチユーエー(米寿祝い)☆家族で祝う5つの流れ、沖縄県立博物館・美術館 WEBアーカイブ ウチナー民話のへや「子供の寿命(シマグチ)」
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