沖縄の居酒屋やお酒のおつまみとして、豆腐の上に小魚がのっている食べ物を見掛けたことはありませんか? メニューとしては「スクガラス」や「スクガラス豆腐」と書かれていると思います。
小魚の正体は「スク」。琉球王国時代から食べられていた一品
この小魚の正体は「スク」。アイゴの稚魚で、沖縄では昔から塩漬けにして食べられています。沖縄の言葉でアイゴの稚魚を「スク」、塩漬けを「カラス」ということから「スクガラス」と呼ばれています。
ひと言で「昔から」と書きましたが、すでに琉球王国時代には食されていたとされています。当時、スクを使った塩辛は沖縄から中国へ輸出する重要な海産物でした。中国の人に特に好まれていたようで、中国皇帝の命をうけた使者・冊封使(さっぽうし)が残した「冊封使録」にも頻繁に出てきます。
気温が高い沖縄では食べ物の保存的な面でも「塩漬け」にすることが多く、豚の塩漬けも「スーチカー」として食べられていますが、そうした面からもスクも塩漬けにして食べられていたと推測されます。
スクは年に数回の「海からのボーナス」
このスクですが、漁場としては、南城市の奥武島(おうじま)が有名です。“天ぷら店が多い島”“ネコが多い島”としても有名ですよね。
旧暦5~7月の1日前後、夏場の新月の頃、この奥武島の近くにスクが近寄って来ます。“海からのボーナス”“海人(うみんちゅ)の夏のボーナス”とも呼ばれ、年に数日間だけしかできない貴重な漁とされています。
スクは群れをなして大潮に乗り、サンゴの海に藻を食べにやって来ますが、藻を食べてしまうと臭みが付いて価値が下がってしまいます。そのため、漁師たちは藻を食べる前のきれいな銀色をしたスクをとろうと、網を仕掛けてスクの群れを一気に網に追い込んでいきます。
ちなみに、スクが島に近づく頃は天候の影響で海が不安定になることが多く、「スク荒れ」という表現もあるほど。前述のような時間との闘いもあり、スク漁は気をつけなければいけない面が多いようです。
スクガラスの食べ方。注意点は、〇〇から食べる!
スクガラスの食べ方といえば、やっぱり島豆腐に乗せるのが大定番。気をつけないといけないことといえば、スクを食べる時は頭の方向から食べることをアドバイスされた人もいるのではないでしょうか? スクは、頭の部分が硬く、小骨が多いので、尾の方から食べると骨が喉に引っ掛かりやすくなるため、このようにいわれています。
豆腐の上にスクガラスをのせるというのは栄養学的にも組み合わせ的にも理にかなっていて、豆腐のグルタミン酸のうま味、塩辛のイノシン酸のうま味が合わさり、口に入れると、何ともいえないうま味が広がります。それをオリオンビールで流し込む…最高のひと時です。
スクガラスのレシピや使い方
スクガラスは居酒屋や食事処で目にするだけでなく、瓶詰めにされたものが、市場やスーパーマーケット、お土産店などに並んでいます。ちなみに、スクガラスはガラスの瓶の中にぎっしりと詰められています。あるメーカーのものは丁寧に1匹ずつ規則正しく詰められていて、その様子はまさに芸術的!
家庭でもぜひ、スクガラスを使った料理を楽しんでみてください。レシピとしては、やはり主流は、固めの木綿豆腐をしっかり水切りして、その豆腐の上にスクガラスをのせるだけの「スクガラス豆腐」。お好みでかいわれ大根やライムなどを添えて、“味変”を楽しんでみてはいかがでしょうか。
瓶詰めのスクガラスを購入すると、あまりの量に使い道に迷うかもしれません。そんな時は、料理のアレンジとして使ってみてください。
特に人気なのはパスタ。スクガラスの塩気が味のアクセントになり、ホットだけでなく冷製パスタに使うという声も多いです。それ以外にも、ピザのトッピングや、お腹もしっかりと満たしてくれるグラタンなど、イタリア料理との相性が抜群。アンチョビの代用としてスクガラスを使った料理を楽しんでいるようです。
次の沖縄の旅で、またご家庭でも、オリオンビールと一緒にスクガラスのうま味を堪能してみてください。
参考図書:「沖縄ぬちぐすい事典」(プロジェクト シュリ)、「沖縄いろいろ事典」(新潮社)
オリオンビール公式通販で、ご自宅でも沖縄気分をお楽しみください。
ご自宅でも沖縄気分を味わいませんか? オリオンビール公式通販なら、沖縄県外では手に入りにくいオリオンビール商品やオリジナルグッズ、沖縄県産品を取り扱っています。8,000円以上の購入で全国どこでも送料無料。