沖縄は古くから、さとうきびを原料に黒糖を作る製糖業を基幹産業として発展してきました。黒糖が大きな産業となる一方で、製糖過程で大量に発生する絞りかす“バガス”の有効活用が求められるようになってきました。
世界で最も生産されている農作物であるさとうきびは、年間18億9,000万トンほど。そのさとうきびから出るバガスは、実に1億8,900万トンから3億7,800万トンといわれています。
2018年、そのようなバガスの状況を憂い、あるアパレルブランドが立ち上がります。それが「SHIMA DENIM WORKS(シマデニムワークス)」。浦添市港川の外人住宅「港川ステイツサイドタウン」の一角で産声を上げました。
そして、このたび、SHIMA DENIM WORKSとオリオンビールのコラボレーションで、生地に沖縄のさとうきびから発生したバガスを使ったサステナブルなかりゆしウエアを共同開発しました。
ブランド立ち上げから4年が経過しますが、沖縄県内の企業とのコラボ商品は「SHIMA DENIM WORKS」にとって初めてのチャレンジ。今回、このコラボ商品についてその背景も含めてご紹介していきます。
コラボをきっかけにバガスのことをもっと知ってもらいたい!
今回のコラボレーションについて、SHIMA DENIM WORKSの大本さんに話を聞くと、「バガスのことをもっと多くの人に知ってほしかったので、オリオンビールさんにお声掛けいただけたことは非常にありがたかったです。アパレルと飲料という異業種のコラボでもあるので、新しいものが生まれる期待がありました」と目を輝かせました。
制作したかりゆしウエアは、白を基調にした2パターン。オリオンビールのロゴマークをアレンジしたモノグラム調の生地をフロントの半分に大胆に使用したものと、ポケット口の部分にオリオンビールのロゴマークをシンプルに見せているもの。
「実は当初は、エプロンやランチョンマットでコラボする案からスタートしました。検討を進める中で、沖縄発の“エシカル”や“サステナブル”というテーマがより分かりやすく伝わる、インパクトのある商品にしたかったので、最終的にかりゆしウエアでご一緒することになりました」と約4カ月の打ち合わせを重ねて、企画を実現していきました。
デザインをする上で、「オリオンビールさんはやはり沖縄県民や沖縄好きの人たちに定着していると思います。それを象徴するロゴを使って、これまでのオリオンビールさんらしさを大切にしながら、私たち『SHIMA DENIM WORKS』が関わることで新しいオリオンビールさんの価値を表現したかった」と思いを詰め込んだそう。
「さりげなさの中に“らしさ”も表現した商品になっていると思います。お仕事やリゾートなど、さまざまなシーンで末長く使っていただけたらうれしいです!」と熱く語っていただきました。
廃棄されていたバガスで実現したアップサイクル
「SHIMA DENIM WORKS」はこのバガスのアップサイクルに取り組んでいます。起点となるのは、宮古島を中心に沖縄県内の契約農家から出るバガス。そのバガスを糸満市の工場でパウダー状にします。
ここから、このパウダー状のバガスが、岐阜県に飛びます。美濃市の伝統工芸にもなっている美濃和紙の工場でバガスのパウダーが“バガス和紙”となり、その和紙を撚(よ)ることにより、糸状にしていきます。
その糸が、今度は日本製デニムの一大産地となっている広島・福山市へ。そこで、“バガス和紙の糸”を緯糸に、コットンを経糸にしてデニム生地に仕立てられます。
その生地がまた沖縄に戻り、沖縄市の工房「ダブル・ボランチ」など県内外の職人によってジーンズをはじめ、さまざまなアイテムに加工されていきます。沖縄のさとうきびから出たバガスが、岐阜、広島と巡る中で日本を代表する職人たちの手で最高の素材に生まれ変わり、沖縄県を代表するデザイナーたちの手でその生地から最高のジーンズが誕生する…この理想的なアップサイクルによって「SHIMA DENIM WORKS」のデニム製品が、まさに唯一無二のアイテムとなっていくのです。
「バガスを使ったデニム生地で作ったジーンズを最初に穿いたときに一番驚いたのは、その軽さ! サラッとした肌触りが特徴です。そして、長く使っていると柔らかくなじんできます。蒸れにくい点も、ほかのジーンズとの違いが感じられると思います」とのこと。
長く着る“サステナブルファッション”を目指して
エシカルな素材は「SHIMA DENIM WORKS」の魅力ですが、ジーンズを長くはく中での“経年変化”の魅力も気になるところ。
大本さんは「バガスにはリグニンという成分が含まれています。身近な例でいうと、文庫本が時を経ると黄色がかった色へと変化していきますが、実はあれもリグニンの成分によるもの。バガスからできた糸も、紫外線を浴びると徐々に色が変化をしていく様を楽しむことができます」と魅力を説明してくれました。
このように「1着を長く着る」ということを“サステナブルファッション”と呼んで、「SHIMA DENIM WORKS」は企業理念の一つにしています。「デニムのダメージや汚れは、時がたつと“味”になっていきます。それはデニムならではで、まさに“サステナブルの象徴”。ファッションブランドとして立ち上がった『SHIMA DENIM WORKS』が『DENIM』を店名に掲げたのも、デニムのそうした特徴が大きく影響しています」と、その背景を教えてくれました。
SHIMA DENIM WORKS×オリオンビールのデニムも限定発売
今回はかりゆしウエアのほか、沖縄の本土復帰50年を記念して、コラボジーンズも50着限定で制作(ジーンズは発売即日完売、10月頃に購入者に発送予定)。
ジーンズは既存の「SHIMA DENIM WORKS」のジーンズのコインポケット部分にオリオンビールのフォントタイプが入った赤いピスネームが付きます。そして、ブラックをベースにしたオリオンビールのネームラベルがその質感を表現しています。
商品リンク:OKINAWA BAGASSE JEANS(沖縄復帰50周年記念ジーンズ)※完売
商品リンク(2023年6月24日12時発売開始):OKINAWA BAGASSE JEANS(2023年モデル)
SHIMA DENIM WORKS×オリオンビールが紡ぐ沖縄の未来
「SHIMA DENIM WORKS」と「オリオンビール」… “県産”や“サプライチェーンの最小化”という“沖縄でのものづくり”に徹底的にこだわる2社の異業種コラボレーションがどんなサステナブルな未来を作り出すのか…両社の担当者もその未来を楽しみに見据えています。
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