色彩豊かな沖縄の伝統工芸品「琉球漆器」その特徴や魅力を紹介

沖縄特有の漆器・琉球漆器(りゅうきゅうしっき)。その技術と芸術性は世界でも高く評価されています。沖縄の家庭では、菓子入れや盆、茶碗など身近な道具に琉球漆器の品物を見かけることもしばしば。この記事では日常の食器から芸術性が高い美術品まで、幅広く使われる琉球漆器の歴史や工程、その魅力を紹介していきます。

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中国の影響を受けた龍の絵柄の琉球漆器/©OCVB

琉球漆器の魅力

琉球漆器の絵柄には、龍、沖縄独特のハイビスカスやユウナなどの草花、ゴーヤー、幸せの象徴の意味を持つリスとブドウなどがあります。そして、琉球漆器の磨き上げた漆黒の美しさと黄色みがかった鮮やかな朱色の美しさはほかに例を見ないといわれており、塗りや装飾の美しさが琉球漆器の魅力です。

鮮やかな朱色が美しい琉球漆器/©OCVB

琉球漆器が生み出された理由

漆を乾燥させるには温度と湿度が重要です。年間の平均気温22.4℃、湿度77%の沖縄は漆器作りに非常に適した環境です。琉球漆器の木地(きじ)は沖縄本島の木材で、大きいものには「デイゴ」、椀などの小物には「シタマキ(エゴノキ)」を使います。気候とともにこのような良質の素材も有しているという、好条件が重なったことで「琉球漆器」として水準の高い品が生み出されたのです。

外国への献上品としても使われました/©OCVB

琉球漆器の歴史

琉球漆器の歴史は、14~15世紀頃の琉球王国時代に始まります。漆器の技法は中国から伝わりましたが、琉球で独自の発展を遂げて「琉球漆器」となりました。最初は、祭りや儀式で使われていましたが、外国との交流が深まると中国、タイ、マレーシアへの献上品としても使われました。薩摩藩により徳川家康に献上されたという記録もあります。

沖縄戦により壊滅的になりましたが、米軍向けの土産品から始まり、料亭の碗、位牌(トートーメー)などの注文が盛り返すきっかけになりました。

指物木地で作られた琉球漆器の重箱/©OCVB

琉球漆器ができるまで

琉球漆器がどのように作られるか、製造工程を紹介します。

1:木地作り
木地は木材の縮みなどの原因で変形やひび割れを避けるために、半年から5年をかけて乾燥させた木材を使います。木材には指物(さしもの)木地と挽物(ひきもの)木地があります。

重箱や膳を作る指物木地作りは、板に接着剤を塗って組み立て乾燥させた後、カンナで削って製品の形にします。 椀や盆の形にする挽物木地作りは、木を輪切りにしたものを使う「竪挽き(たてびき)」と、縦に切った木を使う「横挽き」があります。ロクロに木材を取り付け、それを職人自身が作ったオリジナルの工具で削り、作品の形にします。

2:下地付け
木地の表面の傷や小さな穴などを下地で埋めます。下地には最初は小禄砂岩と生漆(きうるし)を混ぜた「ニービ下地」を使い、最後は島尻泥岩粉と生漆を混ぜた「クチャ下地」が使われます。 昔はブタの血を使った「豚血下地(とんけつしたじ)」も使われていました。

3:研磨
下地付けした木地を砥石やサンドペーパーなどで研ぎ、表面の凹凸をなくしていきます。「下地付け」と「研磨」は3回以上繰り返します。

4:中塗り
漆を密着させ、仕上がりをきれいにするために「上塗り」の前に、上塗りと同じ色の顔料を混ぜた漆を塗ります。湿度や気温に合わせて塗る漆の配合も変えることもあります。

5:上塗り
上塗り漆(生漆の水分を蒸発させて作った透明な漆に顔料を混ぜ合わせた漆)を、こしの強いはけで一つ一つ丁寧に塗ります。塗った後に細かいホコリや気泡などは細い針のようなもので取り除きます。 塗る時は美しく映える色を出すために気温や天候に合わせて塗る漆の配合を変え、乾燥時は湿度が漆器の出来栄えに影響するので、慎重に湿度管理を行います。

6:加飾
塗り上がった漆器にさまざまな技法を使い、飾りを加えて「絵付け」を行います。琉球漆器独自の技法としては顔料と漆を練り合わせた模様を器に張り付ける、立体的な表現の「堆錦(ついきん)」が特に有名です。そのほかにも、「螺鈿(らでん)」「沈金(ちんきん)」「蒔絵(まきえ)」「漆絵(うるしえ)」「箔絵(はくえ)」などがあります。

琉球漆器の主な道具

〇位牌(トートーメー)
沖縄の位牌は琉球漆器の美しい工芸品のようなものです。長く続いている家では上下二段に7枚のご先祖様の名札が連なった大きい位牌が使われます。沖縄戦の時には、大きな重い位牌を体にくくり付けて避難した人たちも多かったそうです。

〇東道盆(とぅんだーぶん)

東道盆/©OCVB

東道盆は琉球王国の宮廷料理の中の泡盛のおつまみ「五段のお取持(ぐだんぬぅうとぅいむち)」を盛りつけるための区切りが七つある六角形の蓋付きの盆です。もともとは中国への献上品だったといわれ、美しい装飾が施されています。

盛り付けられる料理は、ミヌダル(豚肉にごまだれをまぶして蒸したもの)や、ポーポー(小麦粉を薄く焼いて油みそを塗ったものなど)、チギアギー(揚げかまぼこ)、昆布巻、花イカ、田芋の唐揚げ、ニガウリの天ぷらなどです。

沖縄には、東道盆を使った宮廷料理や琉球漆器を使った琉球料理を出している店もあり、そこでは、琉球漆器と料理を同時に味わえます。

漆器は壊れにくく、丈夫で長持ち。木には断熱作用がありますので持ち手や飲み口が熱くなりにくいという特徴があります。さらに、漆には抗菌作用があります。日常の食器として、琉球漆器ならではの彩りを楽しみながら使ってみませんか。

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