先祖を敬い、人と人とのつながりや、自然からの恩恵を大切にする沖縄では、健康祈願や長寿祝い、五穀豊穣を願う祭りなど1年を通して多くの行事が行われます。また、沖縄では昔から伝わる行事を、現在も旧暦で行う地域が多く、旧暦は吉凶の判断などに重要な役割を果たしています。
オリオンストーリーではこれまでさまざまな沖縄の伝統行事を深掘りしてきましたが、今回は時系列で一挙紹介! 来年の行事を確認する際はぜひ参考にしてみてください。
※新暦・旧暦の行事や催しの日程は各家庭や団体により前後する場合や行われない場合もあります
故人を慰める“あの世の正月”「ジュールクニチー(十六日祭)」
新暦の正月(1月1日)、旧暦の正月、そして、“あの世の正月”と、沖縄にはお正月が3回あるといわれています。中でも旧暦の1月16日は“あの世の正月”を意味する「ジュールクニチー(十六日祭)」といわれ、ご先祖様の正月として行われる行事です。
「ジュールクニチー」は沖縄本島ではささやかな御願(うがん、先祖や神様に祈りを捧げること)が多く、朝からヒヌカン(火の神)へ報告した後、おかずを配した御膳を仏壇に供える形が一般的です。
一方、宮古島、久米島、八重山諸島などの離島地域では盛大にお祝いし、学校や会社が早く終わるところも。家族や親戚と墓にごちそうを供えて祖先を供養し、墓の前で三線や踊りも楽しみます。2023年の 「ジュールクニチー」は2月6日(月)です。
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先祖崇拝が根付く沖縄での一大イベント「清明祭(シーミー)」
沖縄の旧暦行事の中でも、一大イベントといえる「清明祭(シーミー)」。二十四節気の一つである清明(せいめい)の節内に行う墓前祭で、旧暦3月(新暦の4月5日頃)から現在のゴールデンウィークの頃までの週末を中心に行われています。
清明祭では親族が集まり墓参りをしますが、墓の掃除をしたり線香をあげるだけではなく、墓前で重箱料理を広げ、まるでピクニックのように大勢で食事をします。
「清明祭」と名称に「祭」が付くように、墓前で行うお祝い行事なので、ごちそうを食べて酒を酌み交わし、盛大に執り行われることが多く、先祖崇拝の沖縄ならではの風習です。2023年の 「清明祭」は4月5日(水)~4月19日(水)頃です。
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ひな祭りの沖縄版!?「浜下り(はまうり)」
旧暦の3月3日に、本州のひな祭りと同じように、女性の健康を祈願して行われる伝統行事「浜下り(はまうり)」。三月御重(サングヮチウジュー)と呼ばれる重箱料理や三月菓子などのごちそうを持って浜辺へ行き、手足を海水に浸して身を清め、けがれを落とします。
もともとは女性の健康を祈って身を清める文化でしたが、現在の沖縄では家族で潮干狩りを楽しむ行楽行事として暮らしに根付いています。2023年の 「浜下り」は4月22日(土)です。
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沖縄に夏の到来を告げる「ハーリー(ハーレー)」
「ハーリー」は旧暦の5月4日「ユッカヌヒー」に、豊漁と海上安全を祈願する海の祭りで、爬龍船(はりゅうせん)やサバニと呼ばれる船を漕いで競い合う行事です。
毎年5~6月頃には、沖縄県内各地の港などを会場に「ハーリー」が繰り広げられ、漕ぎ手たちの勇姿が見られます。2023年の「ハーリー」は5~6月頃、那覇ハーリーは5月3日(水・祝)~5月5日(金・祝)、糸満ハーリーは6月21日(水)です。
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自然の恵みに感謝する祭り「ウマチー」
麦や稲、粟といった穀物豊穣を祈願し、収穫に感謝する沖縄の祭祀儀礼「ウマチー」。農耕が盛んだった琉球王朝時代には公式の儀式として行われていましたが、稲作や麦作が少なくなった近年では、一族の繁栄や無病息災、商売繁盛などを祈願する行事に変わってきています。
「ウマチー」は旧暦の2月、3月、5月、6月の15日前後に年4回行われていましたが、現在は五月ウマチーと六月ウマチーを継承している地域がほとんどで、特に六月ウマチーの際は、五穀豊穣と地域の繁栄を祈願する綱引きや相撲大会が行われています。
「与那原大綱曳」では勝敗によって1年の豊作、凶作を占い、前哨戦として子供たちによる「ウマチー綱」を行っています。2023年の「五月ウマチー」は7月2日(日)、「六月ウマチー」は8月1日(火)です。
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先祖を思い共に過ごす3日間「ウンケー・ナカヌヒー・ウークイ(旧盆)」
先祖崇拝の沖縄では、清明祭と並ぶ重要な行事の一つが「お盆」です。旧暦の7月13日から7月15日の3日間を「ウンケー(初日)・ナカヌヒー(中日)・ウークイ(最終日)」と呼び、「ウンケー」には沖縄の炊き込みご飯「ジューシー」を作り、ご先祖様に供えます。
「ナカヌヒー」には位牌を持たない家の者が位牌のある親族の家へあいさつ回りをし、最終日の「ウークイ」には重箱料理を供え、あの世のお金「ウチカビ」を燃やしてご先祖様を見送ります。
また、最終日にはエイサーで太鼓を打ち鳴らし、踊りながら地域を練り歩く「道ジュネー」が行われ、盛大にご先祖様を送り出します。2023年の 「ウンケー・ナカヌヒー・ウークイ」は8月28日(月)、8月29日(火)、8月30日(水)頃です。
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親族一同で盛大に米寿を祝う「トーカチ」
旧暦の8月8日に、数え88歳の長寿を祝う沖縄の行事で、沖縄県外で行われる「米寿」の風習が、沖縄にも入ってきたといわれています。「トーカチ」とは米の升切りに使う竹の斗搔(とかき)のことで、祝いの日に大きな器に米を盛り、その中にたくさんの斗搔を立てて“あやかり”として客人に配ったことからこの名が付いたといわれています。「米」の字を分解すると八十八になることから“ユニヌイワイ(米の祝い)”ともいわれています。
この日は、屋敷の神様や仏前などにお祝いの報告をし、これまでの加護に対して感謝すると同時に今後の健康を祈念します。親戚縁者を招いてお祝いをしますが、最近ではホテルなどで余興や司会者を準備し、盛大に祝いの場を設ける家族もあります。2023年の 「トーカチ」は9月22日(金)です。
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沖縄特有の長寿祝い「カジマヤー」
旧暦の9月7日に数え年97歳の長寿を祝う「カジマヤー(カジマヤーユーエー)」。「カジマヤー」は沖縄の言葉で「風車」を意味し、老齢になると人は童心に返り、風車で遊ぶようになるという考え方からこの名がついたといわれています(諸説あり)。
この日は、神様やご先祖様に拝みを捧げ、お供えをし、お祝いの報告とこれまでの感謝と今後のさらなる健康を祈願します。また、住民総出でお祝いする地域もあり、「カジマヤー」を迎えた主役のおじぃやおばぁがオープンカーに乗ってパレード(道ジュネー)を行う様子が、テレビや新聞などで取り上げられることもあります。2023年の 「カジマヤー」は10月21日(土)です。
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沖縄の冬の風物詩「ムーチー(鬼餅)」
風が冷たくなり沖縄も徐々に肌寒くなってくる、旧暦の12月8日は「ムーチー(鬼餅)」の日。サンニン(月桃)の葉で餅を包んだ「ムーチー」を各家庭で作り、仏壇に供えて健康祈願と厄払いをします。 “邪気払い”や“子供の健康を祈願する”という意味もあり、家庭ごとにムーチーを食べて1年の健勝を祈ります。
最近では、旧暦12月8日近くになると市場やスーパーマーケットなどにムーチーが並ぶ光景も見られるようになりました。沖縄ではこの時期の寒さのことを「ムーチービーサ」といい、「ムーチー」は沖縄の冬の風物詩でもあります。2023年の 「ムーチー(鬼餅)」の日は2024年1月18日(木)です(2022年の「ムーチー(鬼餅)」の日は12月30日(金))。
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参考サイト:あじまぁ沖縄、おきなわタウンネット
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