沖縄の名産品の一つが「塩」。“沖縄の塩”はその種類だけでなく、製法もさまざま。商品数にして100を超える多様な塩が作られていることからも、沖縄は塩の名産地といえるでしょう。
今回は、そんな沖縄の塩をご紹介します。
「塩」を意味する沖縄方言は“マース”。人気メニューやBEGINの楽曲にも
塩は沖縄方言で“マース”と呼ばれ、沖縄料理の定番メニュー“マース煮”や、お土産物にもなっている“マース袋”など馴染みの深い言葉ではないでしょうか。
沖縄を代表するバンド・BEGINのヒット曲「オジー自慢のオリオンビール」の冒頭の歌詞にも登場しますので、何気なく“マース”という言葉を口ずさんでいた人も多いと思います。
沖縄の塩は調味料として使われるだけでなく、地元では清めの塩やおまもりとして、人々の生活の中に深く根付いているのです。
参考レシピ:旬の鮮魚をシンプルにいただく!『マース煮』
参考記事:知っているようで知らない? 沖縄の魔除け&おまもり5選
沖縄における「塩」作りの歴史
沖縄で本格的な塩作りが始まったのは、今から300年以上前の1694年。那覇の農家が鹿児島から製塩法を習い、那覇の泊にあった干潟で塩作りをしたものと伝えられています。その後、泡瀬(現在の沖縄市)、豊見城(現在の豊見城市)、羽地(現在の名護市)、具志川(現在のうるま市)と製造地が広がっていきました。
その後、1997年に塩の専売制度が廃止されると、それまで海外からの輸入塩を原料にした塩作りをしていた日本では自然塩の復興を目指す運動が全国的に広がっていき、沖縄はその礎になったのです。
県内の主な製塩所をチェック
現在、県内では沖縄本島、離島に30以上の製塩所があり、それぞれ、独自の製法で商品化しています。味もさまざまなので、スーパーマーケットでも複数の商品が並ぶなど、県民はそれぞれひいきにする塩を日常生活に取り入れています。
ぬちまーす(宮城島)
うるま市宮城島の「ぬちまーす」は観光施設も併設しており、有名な塩の一つです。「ぬちまーす」は「世界一多様ミネラル分(14種類)を含んでいる」ことが認められ、2000年2月にギネス認定を受けました(2002年には21種類のミネラルを検出)。
細かい霧を発生させて塩を作る「常温瞬間空中結晶製塩法」は世界初の製法としても注目されていて、沖縄にいながらまるで雪国のような白い世界が広がる工場内の製塩工程を見学したり、お土産を購入したり、カフェでぬちまーすを使ったメニューを楽しんだり、いろいろと楽しめます。
敷地内には青い海の絶景が臨める「果報(かふう)バンタ(沖縄の言葉で「幸せの岬」という意味です)」、満月の夜にウミガメが産卵に訪れる浜が見える他、パワースポットを結ぶ散策道もあるので、ぜひ足を延ばしてみてください。
宮古島の雪塩
本州でもさまざまな商品に利用されている「宮古島の雪塩」もご存じの人が多いかもしれません。オリオンビールもこの「宮古島の雪塩」を使用したチューハイ「WATTA 雪塩シークヮーサー」を販売しています。
「宮古島の雪塩」は沖縄県内でも屈指の美しさを誇る宮古島の海から汲み上げた地下海水には琉球石灰岩の成分が溶け込んでいて、その全てを、通常は取り除かれるニガリ分までも凝縮するように作られている塩です。
汲み上げた海水を濃縮した後、加熱した金属板に噴霧して水分を瞬時に蒸発させることで、塩の中に海の成分をできるだけ多く残すことが可能となりました。この製塩法は「加熱ドラム式」と呼ばれています。
同社の調べで、「宮古島の雪塩」は通常の海水塩と比べて、食塩相当量は0.8倍にもかかわらず、マグネシウムは30倍、カリウムは20倍、カルシウムも8倍という成分量を誇っているそう。
工場に併設されている「雪塩ミュージアム」では、スタッフのレクチャーや雪塩の製造工程を見学できるほか、「宮古島の雪塩」を使った商品の体験、雪塩を使ったソフトクリームなどを楽しむことも可能です。
この雪塩を製造している株式会社パラダイスプランは、那覇空港内や那覇の国際通りなどに塩の専門店「塩屋(まーすやー)」を営んでいるので、こちらもぜひチェックしてみてください。
参考記事:宮古島の「雪塩」世界が認めた品質を雪塩ミュージアムで体感
宮古島の雪塩を使用したオリオン商品がこちら!
「WATTA 雪塩シークヮーサー」は、雪塩のほどよい塩味がシークヮーサーの果実を引き立て、味わいのバランスが良い一杯です。2種類の沖縄県産シークヮーサー由来エキスを使用することで、爽やかなシークヮーサーの風味を感じられます。
浜比嘉塩(浜比嘉島)
うるま市の橋でつながった離島・浜比嘉島(はまひがじま)では「浜比嘉島の塩工房 高江洲製塩所」が塩作りを行っています。
ここの塩作りは、昔ながらの”流下式塩田”による海水濃縮により行っています。工房近くの海岸から満潮時に海水をポンプで汲み上げ、工房外にある「滴下」する竹枝を組んだ枝条架の装置で、竹枝から海水を滴り落とし、小砂利を敷き詰めた流下盤を流れていく…この循環をさせる中で塩分濃度を上げていき、太陽と風の力で蒸発させていきます。その後、塩職人が工房内の平釜でじっくりと焚き上げていきます。
工房の外の循環をさせる装置ですが、屋外にあるため、循環の過程で雨が降ったり、台風が来たりすると台なしになってしまいます。晴れの日が続きそうな予報を見ながら、太陽と風という自然の力で製造。特長としては、粗塩で、天然塩特有の苦みが残らないように、自然乾燥させてまろやかに仕上げています。
工房では、店舗での商品販売のほか、”流下式塩田”で濃縮した海水を使った塩作り体験ができます。自分だけのMy Saltを作って “塩工房オリジナル塩壷” に入れて持ち帰りが可能。塩職人にサポートしてもらいながら、チャレンジしてみませんか。
粟国の塩(粟国島)
本島周辺離島の粟国島(あぐにじま)でも塩作りが行われています。株式会社沖縄海塩研究所による「粟国の塩」は、「昔の塩の復元」ではなく、「本来塩はどうあるべきか」という観点で学者を交えて研究を重ねた結果に生まれた塩です。
素材のうま味を引き出して、料理はもちろん、梅干し、みそ、しょうゆなどの加工品とも相性が良く、本島のスーパーマーケットでも置いてある店舗が多いので沖縄県民にもファンが多い塩です。
こちらの粟国の塩も海水濃縮で作っていきますが、特長的なのは、高さ10mにもなる枝条架式の塩田タワー。タワー内には竹が15,000本ほど吊るされ、汲み上げた海水を何度も竹に流して循環させ、1週間以上かけて塩分濃度約6~7倍(塩分20%前後)に濃縮したかん水を作ります。
そこからは商品によって2つの工程に分かれ、30時間かけてかん水をゆっくりと煮詰めていく「釜炊き塩」と、温室のプールでかん水を天日(夏場約20日、冬場約60日)で結晶化させていく「天日塩」が作られていきます。
他に、糸満市、北谷町(ちゃたんちょう)、本部町(もとぶちょう)。屋我地島(やがじしま)、離島では、伊江島、久米島、多良間島(たらまじま)、石垣島、与那国島などでも塩作りが行われています。
次の沖縄旅行の際、訪問先で生産されている塩について調べたり、土産品で購入したり、さまざまな形で沖縄の塩を楽しんでみてください。
参考図書:「琉球塩手帖」(青山志穂著、ボーダーインク)
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