個性ある表情が魅力。沖縄の石獅子を巡ってみよう

沖縄最大にして最古の石獅子「富盛の石彫獅子」/©OCVB

「石獅子」とはその名の通り石彫りの獅子のこと。沖縄では村落獅子とも呼ばれ、悪霊や火事から地域を守るために造られ、崇められてきました。その素朴な風情や表情には何ともいえない愛きょうがあり、その魅力にハマって石獅子巡りをする人もいるほど。今回は、シーサーの原型ともいわれる石獅子を紹介します。

沖縄の石獅子とはどんなもの?

沖縄で多く見掛ける石獅子は「村落獅子(そんらくしし)」と呼ばれるもので、火事を防ぐヒーゲーシ(火返し)や、悪霊の侵入を防ぐために造られ、村の入り口などに設置されていました。最古のものは1689年に設置された「富盛の石彫獅子(ともりのいしぼりうふじし)」といわれていて、現在の八重瀬町(やえせちょう)の富盛に現存します。

沖縄最古の石獅子「富盛の石彫大獅子」

戦時中についたであろう銃跡も確認できる石獅子は、いつの時代も地域の人々を見守ってきました/©OCVB

沖縄県指定有形民俗文化財でもある富盛の石彫大獅子は、沖縄が琉球王国だった1689年にジリグスク内に設置されました。高さ約1m41cm、全長約1m75cmの大きな石獅子で、村落獅子としては最大最古ともいわれています。

設置された当時、不審火が多いことで困っていた富盛村の人たちが風水を占ってもらったところ、「八重瀬岳が原因である」という結果が出ました。その対処法として「八重瀬岳に向かって獅子を立てると良い」との助言を受け、ジリグスクの中に八重瀬岳に向かい石獅子を設置しました。すると不思議なことに、それ以降火事がなくなったという話が広まり、本島南部エリアを中心に、沖縄各地にも石獅子が広まったといわれています。

富盛の石彫大獅子を盾に日本兵の様子を伺うアメリカ兵/画像提供:八重瀬町立具志頭歴史民俗資料館

何とも福々しい顔をしている富盛の石彫大獅子は、太平洋戦争の戦火を経て現在も守り神としてグスクの小高い場所に鎮座し、地域の人々に愛され続けています。石獅子を見てみたいという人は、まずは富盛の石彫大獅子に行ってみてはいかがでしょうか?

石獅子巡りは沖縄本島南部エリアで楽しもう

那覇市首里の崎山公園に隣接する雨乞御嶽にある石獅子。今みられるのは1979年に復元されたもの/©ASIAN BAO

沖縄の石獅子は、那覇市以南の本島南部エリアに多く現存しています。それぞれ味わい深い風情の石獅子を巡りながら、南部エリアをドライブするのも楽しい時間です。ここでは、南部エリアにあるおすすめの石獅子をいくつか紹介します。

八重瀬町の石獅子

沖縄最大最古の石獅子「富盛の石彫大獅子」がある八重瀬町は、石獅子が多く見られる地域です。八重瀬町では「八重瀬町の石獅子MAP」というパンフレットを作成し、町内の石獅子を紹介しています。ホームページからダウンロードできますので、石獅子巡りに活用してみてください。

八重瀬町の石獅子MAP

【おすすめ石獅子】
東風平(こちんだ)の石獅子
東風平集落には集落の東西南北それぞれに石獅子が設置されています。東・西・南の石獅子は、富盛の石彫大獅子同様に八重瀬岳を向いています。表情などが全て違うので、チェックしてみてください。

具志頭(ぐしちゃん)の石獅子
元々集落にあった岩(根石)に彫刻されている石獅子。根石を使った石獅子はここでしか確認されていない珍しい石獅子です。

与那原町の石獅子

かつて、木材店が多かった与那原町(よなばるちょう)でも、火から町を守るための石獅子がいくつも造られたそうです。現在は7体の石獅子が現存しますので、街歩きも兼ねて巡ってみましょう。場所を探すには、与那原大綱曳資料館のホームページにあるMAPが詳しいです。

与那原町の文化財/全域マップ

【おすすめ石獅子】
火の獅子
大里村で火を返すために造られた石獅子が与那原を向いていたため、さらに火を返すべく大里村に向かって建てたという話が伝わる石獅子。

那覇市の石獅子

沖縄県の中心地、那覇市にも石獅子がいくつかあります。観光客でも訪れやすいと思いますので、近くに行く際に少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

【おすすめ石獅子】
御茶屋御殿(おちゃやうどぅん)石獅子
元々は17世紀頃に作られたものを1979年に復元した石獅子。首里の崎山公園の雨乞御嶽にあるので、首里城を訪れる際に併せて見学してみてください。

おもろまちのシーシ
那覇市おもろまちにある県立博物館・美術館の入り口にある石獅子。元々設置されていた場所や、名前、由来などは謎のままだとか。見つけやすい場所にあるので、とりあえず石獅子がどんなものか見てみたいという人におすすめです。

お土産におすすめの石獅子

琉球石灰岩で作られる石獅子はどこか味があります/画像提供:スタジオde-jin

石獅子の魅力に触れて「石獅子を家に連れて帰りたい」「お土産にしたい」と思った人におすすめしたいのが、スタジオde-jinの琉球石灰岩で造られた石獅子です。沖縄の石獅子巡りを精力的にされているアーティストが手掛けていて、那覇市首里にギャラリーショップがあります。県内のセレクトショップなどでも購入できますので、詳細はホームページで確認を。

スタジオde-jin

今回は、沖縄の石獅子について紹介しました。シーサーの原型ともいわれる石彫りの獅子、石獅子は表情に趣があり、じっと見ているとだんだん愛着が湧いてくるから不思議。琉球の歴史を体現し現存する石獅子が気になったら、沖縄に足を運んでくださいね。

オリオンビール公式通販で、ご自宅でも沖縄気分をお楽しみください。

ご家庭でも沖縄気分を味わいませんか? オリオンビール公式通販なら、沖縄県外では手に入りにくいオリオンビール商品やオリジナルグッズ、沖縄県産品を取り扱っています。8,000円以上の購入で全国どこでも送料無料。

友だち限定のお得な情報も届く♪オリオンビールLINE公式アカウントを友だち追加しよう。
友だち追加