うちなーぐち(沖縄の方言)というと、一般的には沖縄本島で使われている方言を指します。しかし、沖縄には無人島含めて大小148の離島があり(※)、地域によって方言もさまざま。今回は、その中から宮古島、石垣島の方言についてご紹介します。
※沖縄県のHPより
きれい、美しい
沖縄本島では「ちゅらさん」と表現しますが、宮古島では「あぱらぎ」、石垣島では「あっぱりしゃん」といいます。「ちゅらさん」と同じく、それぞれの島内でメジャーに使われている方言で、店名にも使われているほど。
宮古島と石垣島は距離が離れていることもあり、本島、宮古島、石垣島それぞれで表現が異なるのが面白いですよね。地元の人と話すとイントネーションなどにも違いがあることに気付くと思います。島を訪れた際は、その「違い」も楽しんでくださいね!
いらっしゃいませ
那覇空港で見掛ける「めんそーれ」看板は「いらっしゃいませ」の意味ですが、 宮古島では「んみゃーち」、石垣島では「おーりとーり」といいます。まさかの「ん」で始まる宮古島方言! この言葉以外にも、宮古島には「ん」で始まる言葉がたくさんあり、例えば、みそ汁のことは「んつす」、カタツムリのことは「んむーな」といいます。
こんにちは
「はいさい(はいたい)」はポピュラーなうちなーぐちの一つ。では、離島の方言は…。宮古島では「こんにちは」というよりも「やぁ」といった意味で使われるのが「はいー」です。何だか英語の「Hi」のようですね。石垣島では「くよーんなーら」といいますが、似た言葉に「くよーなーら」という「こんばんは」を表す方言もあります。
ありがとう
こちらも、うちなーぐちの中では割と有名な言葉ではないでしょうか。沖縄本島では「にふぇーでーびる」という言葉で表現します。宮古島の場合は「たんでぃがーたんでぃ」。石垣島では「みーふぁいゆー(にーふぁいゆー)」といいます。みーふぁいゆーの前に「しかいとぅ」を付けると、「どうもありがとうございます」という意味になりますので、石垣島でお礼を言う機会があった際は、ぜひ使ってみてくださいね!
私
自身のことを指す「私」ですが、沖縄本島の一部地域では若者の間でも「わん(わー)」という言葉を、会話の中で頻繁に使います。宮古島はというと「ばん」、石垣島では「ばー」と表現します。
ここでややこしい話を一つ。沖縄本島では、自身のことを前述の通り「わん(わー)」といいますが、石垣島では「あなた」のことを方言で「わー」といい、宮古島ではわー=ブタの意味になります。本島、宮古島、石垣島の人が会話すると…何だかややこしくなりそうです(笑)。
うれしい
うちなーぐちでは「うっさん」と表現しますが、宮古島では「ぷからす(ぷからすー)※」といい、頭に「だいず」という言葉を付けると「とてもうれしい」の意味になります。石垣島の方言では「うれしい」を「さにしゃん」といい、頭に「しかいとぅ」を付けることで「とてもうれしい」という意味になります。うっさん、ぷからす、さにしゃん、同じ沖縄とは思えないですよね。何とも奥が深いです!
※「楽しい」の意味を含む場合あり
おいしい
「いっぺーまーさん」という言葉をご存知ですか? 沖縄本島では「とてもおいしい」を表す時にこの言葉を使います。いっぺー=とても、まーさん=おいしいの意味です。宮古島では、おいしいのことを「んまむぬ」、石垣島では「うまさん(まーさん)」といいます。石垣島の方言は本島の方言と近いですね。そして、宮古島特有の「ん」で始まる方言がここでも登場。宮古島出身者は“しりとりに強い”といううわさは嘘ではなさそうです(笑)。
グァバ
南国フルーツとして有名なグァバ。沖縄本島の農園や一般家庭で栽培しているところも多く、ピンク色の果実と甘い香りが特徴のおいしい果物です。こちらも沖縄本島と離島での表現がやや異なるのが面白いところ。本島では「バンシルー」と表現しますが、宮古島では「バンチキロー」、石垣島では「バンシュル」といいます。沖縄では、身近な果物の一つであるため、庭にあるグァバを取っておやつとして食べたり、おすそ分けすることもよくあるんですよ。
【番外編1】乾杯
「かりー」という言葉をご存知の沖縄好きの人もいるのではないでしょうか。沖縄本島では乾杯のことを「かりー」といいますが、実は宮古島、石垣島では該当する言葉がないんです。その理由に、宮古島では昔から「オトーリ」という文化があること。飲み会の場で、一つのグラスにお酒を入れて1人目が飲み干し、次の人にグラスを回す。そしてまたお酒を入れて飲み干し、次の人に回す…これを集まったメンバーで繰り返す文化です。そして石垣島はというと「乾杯」の前にそれぞれが飲み始めるため、「乾杯」文化自体がないのです(地域により異なる場合あり)
「乾杯」があると思いきや…いろいろな文化や風習があって面白いですよね。“乾杯がNG”ということではありませんので、宮古島、石垣島に訪れた際も気になさらず「カンパーイ!」とオリオンビールを掲げてくださいね!
【番外編2】ちむ
「ちむ」とは「肝」という言葉がなまったうちなーぐち。肝、心を表す方言で「ちむ」の後ろに「どんどん」を付けると、胸がドキドキする(心臓がバクバクする)、心が落ち着かない、の意味になります。「ちむどんどん」と似た言葉に「ちむわさわさー」という方言もあり、こちらは「不安」の意味があり「胸騒ぎがすること」を表します。
2022年には、沖縄などを舞台にした「ちむどんどん」というドラマがNHKで始まります。胸がドキドキするという意味の「ちむどんどん」。言葉の意味が分かるとより楽しめそうですね!
日本の言語や方言の中には、ユネスコの「消滅の危機にある言語・方言」として登録された言語・方言が8つあり、そのうちの5つが沖縄の地域です。【重大な危機】レベルにある言語・方言として、八重山(八重山方言)、与那国語(与那国方言)、【危険】レベルに、国頭語(国頭方言)、沖縄語(沖縄方言)、宮古語(宮古方言)が認定されています。
日本全国に数ある言語・方言のうち、沖縄地域のほとんどが消滅の危機があるといわれている言葉。「聞けるけど、話せない」という若い世代も多くなっている今、先代が残してきた言葉を後世に残していきたいものです。「オリオンストーリー」では、今後も沖縄の方言や文化について紹介していきたいと思います。
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