気候、風土、歴史などの違いにより独自の食文化が根付き、多彩な郷土料理に出合える沖縄。「ジーマーミ豆腐」「イナムドゥチ」「ミヌダル」など、個性的なネーミングの料理も多く、旅行中に飲食店のメニューを見て「?」となってしまう人も多いのではないでしょうか。
今回は、名前からは想像しにくい、たくさんの沖縄料理の中から、長年人々に親しまれ、行事ごとには欠かせない「ジューシー」を紹介します。
「ジューシー」は“肉汁たっぷり”の料理ではないんです…
一般的にジューシーと聞くと、果汁や肉汁があふれる様子などをイメージするかもしれませんが、沖縄でジューシーといえば、米と豚肉、ニンジン、ひじき、カマボコなどの具材をブタのだし汁で炊いた「炊き込みご飯」を指します。
ブタのだしを使った濃厚な味わいが特長で、家庭で作られることはもちろん、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの弁当売り場にも並んでいたり、手軽に作ることができるレトルトタイプも販売されていて、沖縄県民にとって大変身近な存在の郷土料理です。
ジューシーは季節の行事や祝い事などで食べることが多く、中でも旧暦の7月13日でお盆の初日にあたる「ウンケー」に作る「ウンケージューシー」と、冬至に作る「トゥンジージューシー」が代表的です。
「ウンケージューシー」にはしょうがや葉しょうがを混ぜることが多く、香りが強く邪気払いの食物とされるしょうがを入れることで、祖霊と一緒にやって来るチガリムン(餓鬼、悪しき霊)に膳を食べられないようにするという意味があるそうです。
また、肌寒くなってきた頃にもジューシーを食べる習慣があります。全国的に冬至にはカボチャを食べたり、ゆず湯に浸かる習慣が多いかもしれませんが、沖縄ではトゥンジー(冬至)にターンム(田芋)やチンヌク(里芋)を入れた「トゥンジージューシー」を神仏に供え、家族の健康と子孫繁栄を祈願します。これは、体を温める根菜類を食べて、冬に備えるためといわれています。
「ジューシー」はとにかくバリエーションが豊か!
ジューシーには主に2種類のタイプがあり、炊き込みご飯は「クファ(硬)ジューシー」、汁気が多い雑炊状のものは「ヤファラ(柔)ジューシー」または「ボロボロジューシー」と呼びます。
名前の由来は諸説あるようですが、「雑炊(ぞうすい)」の発音が変化してジューシーと呼ばれるようになったことが有力といわれています。
【レシピをチェック!】
豚だしが決め手!沖縄風炊き込みご飯「クファジューシー」
体調がすぐれない時や食欲がない時は「ヤファラジューシー」にしたり、おにぎりやお弁当にしたい時は「クファジューシー」にしたりと、ジューシーはシチュエーションによって作り分けられる万能メニューです。
ジューシーは葉物と一緒に炊くことも多く、フーチバー(よもぎの一種)入りの「フーチバージューシー」、カンダバー(かずら、サツマイモの葉)入りの「カンダバージューシー」、ニラ入りの「チリビラジューシー」などバリエーションもとても豊富。
【レシピをチェック!】
よもぎがふわっと香る!「フーチバーのヤファラジューシー」
真っ黒の「イカスミジューシー」は「連続テレビ小説『ちむどんどん』」(NHK)にも登場し、話題となりました。見た目のインパクトは強いものの、イカのうまみとコクがたまらない逸品です。
「ジューシー」と「沖縄そば」は黄金コンビ!
沖縄旅行中にジューシーを味わいたいと思ったら、沖縄そば店を訪れるのがおすすめです。ほとんどの店でサイドメニューやセットメニューとして、ジューシーが用意されています。
“沖縄そばがおいしい店はジューシーもおいしい”ともいわれ、店ごとのこだわりだしで炊かれたジューシーの味は格別! 少し濃いめの味付けのジューシーは、カツオやコンブがベースのあっさり系の沖縄そばと相性が抜群ですので、沖縄そば店で見掛けた際はぜひセットで味わってみてください。
【参考文献】「沖縄の食材・料理」(仲本玲子/小畑耕行共著)、「沖縄の食文化」(外間守善)、「沖縄の行事と食」(松本嘉代子著)、「母と娘が伝える 琉球料理と食文化」(新島正子・安次富順子著)
【参考サイト】出典:農林水産省Webサイト、沖縄観光情報WEBサイト おきなわ物語 沖縄食材図鑑
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