日を追うごとに気温が上昇し、夏を間近に控えた沖縄では、多彩なフルーツも旬を迎えようとしています。沖縄を代表するフルーツと言えば、宮古島や豊見城市のマンゴー、石垣島や東村のパイナップル、今帰仁村のスイカなどが全国的にも有名ですが、市場やファーマーズマーケットなどをのぞいてみると、生産数が少ないことや、栽培、流通などが難しいことから、県外ではなかなかお目にかかれない“激レアフルーツ”に出合えます。
中にはフルーツとは思えないネーミングの物や、思わず二度見してしまうビジュアルの物など、その形や味は千差万別。ここでは見て味わって楽しめる、南国ならではの個性豊かな“激レア”フルーツをご紹介します。
マンゴー超えの糖度を誇る“森のアイスクリーム”「アテモヤ」
東南アジアなどで人気の「釈迦頭(しゃかとう)」と、パイナップル、マンゴスチンとともに世界三大美果とされる「チェリモヤ」を交配させた「アテモヤ」。1988年頃から恩納村をはじめ南風原町、糸満市などで栽培が始まり、徐々に人気が高まっていますが、生産量がまだまだ少なく、市場に出回ることが少ない珍しいフルーツです。
「アテモヤ」は黄緑色の表面が黒ずんで柔らかくなったら食べ頃で、乳白色の果肉は、なんと糖度が20%以上!マンゴーをはるかに上回る甘さで、滑らかな口当たりと濃厚でクリーミーなカスタードのような味わいが楽しめることから別名「森のアイスクリーム」とも呼ばれています。
完熟した「カニステル」は奇跡の味…!?
鮮やかな黄色の果実が特徴で、別名「エッグフルーツ」や「クダモノタマゴ」とも呼ばれる熱帯アメリカ原産の「カニステル」。完熟すると甘みが増し、カボチャや芋のようにホクホクした食感が楽しめますが、食べ頃の見極めが大変難しく、10個に1個程度しか当たりがないとも言われています。
沖縄ではその昔、栽培しても売り物にならなかったことから“蟹捨てる”や“金捨てる”と揶揄を込めてこの名前を付けたという説もあるほど。
現在では生産が少なくなり店頭に並ぶことも珍しくなっていますが、完熟のタイミングがバッチリ合った「カニステル」の味は“卵の黄身のように濃厚!”“スイートポテトやケーキのよう”と絶賛する人もいますので、見かけた際はお店の方に食べ頃を確認して、奇跡の味に出合ってみてください。
たっぷりの水分で喉の渇きを潤してくれる「レンブ」
沖縄、台湾、東南アジア、ハワイなどの熱帯や亜熱帯地域に広く分布する「レンブ」。樹高10m以上になる熱帯果樹で、白い花が美しいことから庭園樹として植えられることも多く、沖縄では夏場に民家の庭先や道端などでよく見かけます。
品種によってピンクや赤、白などさまざまな色の実を付け、梨やリンゴのようにサクサクした食感が特徴です。甘味は強くありませんが、たっぷりの水分を含んだ「レンブ」は、熱帯地域の人々の喉の渇きを潤すフルーツとして栽培されています。
美容と健康に最適の万能フルーツ「グァバ(グアバ)」
熱帯アメリカが原産で、紀元前から先住民族に食されていたと言う古い歴史を持つ「グァバ」。実が熟するとフルーティーな香りが広がり、そのまま食べることもできますが、小さい種が多いので裏ごししてジュースやジャムなどにするのがおすすめ。シャーベットやゼリーにしても、南国らしいトロピカルな味わいが楽しめます。
また、「グァバ」の実には、レモンの約6倍のビタミンCや抗酸化作用のあるビタミンEが含まれる他、カリウム、カルシウム、β-カロテン、鉄分、食物繊維など美容効果や疲労回復が期待される成分もたっぷり!
さらに、タンニンやケルセチンといったポリフェノールが含まれる「グァバ」の葉は沖縄の三大薬草の一つとして昔から人々に親しまれてきました。葉を煎じた「グァバ茶」は、血糖値の上昇を抑える効果が期待できると、全国的にも注目されています。
詳細記事:沖縄で“バンシルー”と呼ばれる南国果実「グァバ」。グァバ商品も紹介
夏バテにもアンチエイジングにも持って来いの美容食「ドラゴンフルーツ」
ユニークなネーミングと見た目が印象的な「ドラゴンフルーツ」は中南米原産のサボテン科の植物。果皮に葉のような緑色の突起物があり、その姿が竜のうろこのように見えることからこの名前が付いたと言われています。
果実は白い「ホワイトピタヤ」と「レッドピタヤ」があり、ホワイトはあっさりした味わいでサラダやマリネに合います。レッドは甘みが強く、鮮やかなピンク色が映えるので、ジュースやスムージー、ジャムにすると見た目も楽しめます。
さらに、むくみを解消するカリウムやビタミン、ミネラル、葉酸など女性に嬉しい栄養素が豊富で低カロリーの「ドラゴンフルーツ」はダイエットやアンチエイジング、夏バテ防止の効果も期待でき、これからの季節におすすめしたいフルーツです。
星形の断面がキュート!食卓も華やぐ「スターフルーツ」
東南アジアが原産の熱帯果樹で、豊富な水分とシャリっとした歯応え、やさしい甘みの果実を付ける「スターフルーツ」。枝に下がっている果実は縦長の卵型ですが、包丁などで切ると断面が見事な星形になり、そのネーミングに納得!皮が薄くそのまま食べられるので、スライスしてスイーツやサラダにトッピングすると料理を華やかに演出してくれます。
また、沖縄では従来品種に比べると酸味や雑味が少なく糖度が高い優良品種のスターフルーツ「美ら星(ちゅらほし)」も栽培していますので、見かけた際はぜひ味わってみてください。
ここで紹介した以外にも沖縄には希少なフルーツが盛りだくさん。野山や道端に自生していたり民家の庭先に植えられていることも多いので、次の沖縄旅行の際はフルーツをテーマに各地を巡ってみてはいかがでしょうか。
また一部のフルーツはネット通販などで購入することも可能ですのでこの機会に取り寄せて、自宅で食べ比べを楽しんでみてください。
参考文献:「沖縄植物野外活用図鑑」(新星図書出版)、沖縄大百科事典(沖縄タイムス社)、「沖縄園芸百貨」(新報出版)、「親子で見る身近な植物図鑑」(沖縄出版)、「沖縄食材図鑑」(楽園計画)、趣味の園芸(NHK出版)
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