梅雨が明けると、本格的に暑い季節になっていきます。この季節になるとエアコンを多用し、室内外との気温差で体調を崩しがちになり、“夏バテ”に陥ってしまう方が多くなります。疲れが取れにくく、体がだるくなってしまう夏バテを予防するため、沖縄では昔から「ゴーヤー」をよく食べます。
今回は、沖縄では夏バテ対策に必須の食材「ゴーヤー」を取り上げます。
ちなみに本土では「ゴーヤ」と語尾を伸ばさずに呼ぶことが多いそうですが、沖縄県では主に「ゴーヤー」と使われているので、しっかりと「ゴーヤー」と紹介したいと思います。
ゴーヤーの歴史と効能
ゴーヤーはウリ科のツルレイシという植物で、一般的にはゴーヤーのほか、「ニガウリ」などの名前で呼ばれ、16世紀末ごろ中国から沖縄へ伝わったといわれています。
沖縄で親しまれていた島野菜ですが、1997年5月8日に沖縄県は語呂合わせから「ゴーヤーの日」と定め、沖縄県外へアピールしました。その甲斐もあり現在では本土のスーパーマーケットでも当たり前に手に入るほど、ポピュラーな野菜となりました。
ゴーヤーはビタミンCが豊富で、レモン果汁よりも多く含まれています。他にもカロテンやカリウムが含まれ、まさに夏バテにぴったりな食材。
また、ゴーヤーの特徴でもある“苦味”は、チャランチンとモモルデシンという成分の影響です。チャランチンは“植物インスリン”と呼ばれるほど血糖値を下げる効果があり、モモルデシンは胃の粘膜を保護、胃腸を刺激して消化液の分泌を促進させ、食欲を増進させる効果があるといわれています。
そのほか、ビタミンB2や葉酸も豊富に含まれているので、肌荒れが気になるときや、妊娠時にもおすすめです。
また、ゴーヤーを調理するときに中の“わた”は捨てていませんか? 実はこのわたやその中にあるタネにも栄養が多く含まれていて、ビタミンCは果肉の3倍以上! 沖縄では素揚げしたり、炒めたりなど、さまざまな調理法で食べられています。
ゴーヤーの苦さの見分け方とは?
“苦味”がクセになるゴーヤーですが、苦すぎるのもちょっと…。でもスーパーで購入するときにどれが苦すぎて、どれがそうでないのかって分からないですよね。苦味の見分け方は、ゴーヤーの“イボ”に注目してみてください。
苦みが強いゴーヤーはイボが小さく密集しています。それに対し、苦みが弱いゴーヤーは上の写真のようにイボが大きくてあまり密集していません。ゴーヤーの色の薄い方は苦味が弱い傾向があるので、ぜひ参考にしてみてください。
苦味を和らげるために、下ごしらえとして塩もみや下茹でなどもあります。
節約にも役立つ「緑のカーテン」
食べて夏バテを防止するゴーヤーですが、栽培時に窓の外や壁面に“緑のカーテン”として張って、夏の日差しを遮ることで、涼を得るだけでなく、CO2排出抑制と光熱費の節約に一役買います。
実を食べられるだけでなく涼を得られる一石二鳥のため取り組まれる人が多いと思いますが、グリーンカーテンは結構な重さになります。180×180cmネットで栽培した際は約30kgにもなるので支柱やブロックなどが必要です。
「緑のカーテン」の作り方
ここで、“緑のカーテン”の作り方を紹介します(NHK「みんなの趣味の園芸」より)。
●用意するもの
ゴーヤーの苗、つるもの用ネット、支柱、肥料、苦土石灰
①植え付けの1週間前に、それまでにゴーヤーなどウリ科の植物を植えていない場所を選んでよく耕し、苦土石灰を100g/m施してよく混ぜてなじませる。
②堆肥2kg/m、化成肥料(N-P-K=8-8-8)100g/mを混ぜて、よく耕しておく。
③つるもの用ネットに支柱を通したものを設置する。倒れないように、フックや雨樋の金具などにワイヤーでしっかり留めておくと良い。
④根鉢がすっぽり入る大きさの植え穴を30~50cm間隔に掘り、水を注ぐ。
⑤水が引いたらポット苗から取り出したゴーヤーの苗を植え穴に据えて植える。
⑥株元の土をしっかり押さえ、根鉢と土をしっかり密着させて、植え付け完了。
<プランター植えの場合>野菜用の培養土を使い、プランター(容量30L以上の大型のもの)に株間を20~30cmあけて苗を植えつけます。
⑦植え付け2週間後、本葉7~8枚の頃に、主枝の先端を切ってわき芽が伸びるのを促す。
⑧同時に化成肥料(N-P-K=8-8-8)30g/mを追肥する。以降、2週間に1回、同様の追肥をする。
⑨以降、伸びた子づるをこまめに等間隔になるよう誘引する。ところどころ、ひもで結び留めても良い。すき間なく葉で面を埋めるようにつるを配置するのがコツ。
⑩つるがよく伸びて、雨樋や電線などに絡みつかないように注意し、伸び過ぎたものは適宜切っておく。
⑪ゴーヤーの緑のカーテンが完成。ゴーヤーは雄花と雌花が別に咲く。最初の頃は雄花が多く咲くが、株が充実して、子づるや孫づるが伸びてくると雌花も咲くようになる。
⑫開花から20~25日後が収穫適期。短い品種は20cm程度、長い品種は30cmほどをサイズの目安にし、つけ根で切って収穫する。高い位置にある実は、高枝切りバサミと補虫ネットを使うのも良い。
地域一丸で幻のゴーヤーを復活!
沖縄のさまざまな地域で栽培されているゴーヤー。本部町(もとぶちょう)の健堅(けんけん)も昔は県内有数のゴーヤーの産地で、「キンキンゴーヤー」(健堅を方言でキンキンと読む)という集落を代表する作物として親しまれていました。
しかし、1975年頃から、流通に適した品種への切り替えが行われて市場から姿を消し、“幻のゴーヤー”となりました。
それから30年以上経ち、地元の関係者や生産者が一丸となってキンキンゴーヤーを復活させる取り組みがスタートします。わずかに残されていた種から5年もの歳月を掛けて研究し、2011年に復活することができました。
他の品種と違い、肉厚でしっかりとした食感で苦味を抑えているのが魅力です。大きさも他の品種と比べて3倍以上がほとんどで、本部町では年に1回「キンキンゴーヤースーブ」を開催(直近2年はコロナ禍で中止)。
“スーブ”とは“勝負”の意味で、キンキンゴーヤーを愛する生産者が自慢のゴーヤーを持ち寄り、長さや質などを競い合います。今までの最高記録は長さが52cm、重さが1.5kgにもなるというから驚きです。
ゴーヤーのさまざまなレシピを紹介
最後にゴーヤーのおすすめレシピを紹介します。炒めても生で食べてもしっかりとゴーヤーの苦味が味わえ、栄養がしっかりとれるので、ぜひ試してみてください。
ゴーヤーチャンプルー
ゴーヤー料理といったらコレ。食堂や家庭料理の定番である「ゴーヤーチャンプル」を紹介します。
レシピはこちら
ゴーヤーと島豆腐の白和え(もずく入り)
豆腐のまろやかさとゴーヤーの苦み、もずくの食感が楽しめる「ゴーヤーと島豆腐の白和え(もずく入り)」を紹介します。
レシピはこちら
いろいろな効果や苦みを抑えたものがあるゴーヤー。この夏はぜひゴーヤーを食べて、夏バテを乗り切ってくださいね。
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