皆さんは、自分が寄付したお金がいつ、どのように活用されたのかをご存じですか?
今回は、オリオンビールが寄付させていただいたお金がどのように使われたのか、寄付金を有意義に活用してくれた子どもたちの活躍を交えて紹介いたします。
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2021年10月、「もっと首里城を、ずっと。」をCSRテーマに掲げるオリオンビールは、首里地域の方々と共同開発したプレミアクラフト「41BEER(スイビール)」を発売。本製品の売上金の一部を、首里城を取り巻く地域の課題解決に向けた取組みに利用してもらうため、地域の子どもたちも参画する「首里まちづくり基金」に寄付させていただきました。
そして、この寄付金を活用する形で、2023年3月19日(日)、地域の子どもたちが企画運営するまちづくりモデル事業「首里まちづくり基金事業 小中高生バンドフェスティバルin首里」が、首里城公園内にある首里杜館芝生広場を舞台に開催されました。
「41BEER」売上金を活用したイベント開催
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2022年12月10日、子どもたちが安心安全に暮らせるよう世界で決めた「子どもの権利条約」を多くの人に知ってもらうことを目的に、「子どもの権利条約フォーラム2022 in那覇」が沖縄大学で開催されました。
そして、このフォーラムの分科会にて、本寄付金をどのように活用するのかについて議論の場が設けられました。首里地域の高校生による「首里まちづくり基金運営委員会」や地域の大人たちが集まるなか、オリオンビールもそこに参加して一緒に検討を深めました。
当日はその場で、子どもたちから三つ提案(音楽フェスやフリーマーケット等)が挙がったのですが、共通するのは「地域を盛り上げるためのイベントの開催」。その場で拙速に決めることなく、子どもたちは改めて時間をかけて費用の見積もりなど行い、結果、三つの提案を一つにまとめた「首里まちづくり基金事業 小中高生バンドフェスティバルin首里」を首里公園内で開催することが決まりました。
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会場や音響の手配、出演交渉、チラシ制作も高校生が担当
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「首里まちづくり基金運営委員会」は、沖縄県立首里高等学校・軽音楽部を中心に、沖縄県立首里東高等学校・軽音楽部を含むメンバー12人で結成。日ごろから交流のある沖縄県立開邦高等学校、那覇市立城北中学校、大名・久場川児童館軽音クラブにも声をかけ、小学生から高校生まで、14バンドの出演が決定しました。
運営委員会会長の照屋睦喜さん(首里高校3年)は、「これまでいろいろな音楽イベントに参加した経験はありますが、企画運営から関わるのは初めて。会場づくりや音響などさまざまな手配など分からないことは、日ごろからお世話になっているプロの方々や地域の方に相談をしながら進めていきました。一番苦労したのはお金の計算かもしれません。いつもはイベントの開催や内容も全て用意されていて、そこにバンドとして参加していたので、何にどのくらい予算が必要なのか考えるのは初めての経験でした。みんなで集まったのは3回くらいでしたが、グループLINEで連絡を取り合い、本番に向けて準備していきました」と話しました。
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役割分担決めを手伝った森田茉鈴さん(首里高校1年)は、「それぞれのバンドに特徴があるので、社交的な人には受付を任せようとか、どのバンドにどの仕事を頼んだらよいかを考えるのはとても楽しかったです。先輩方は過去に首里城公園での音楽イベントに参加した経験があるのですが、私は初めて。実際に現場を見て、先輩に相談しながら機材を運ぶ動線などを考えていきました。今回は途中から参加したので、次にチャンスがあれば、企画を考えることや大人との交渉など、最初からやってみたいです」と話し、企画に関わる楽しさを感じたようです。
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会場の手配、各バンドとの出演交渉、チラシなど宣伝物、雨天時の対策なども全て高校生たちがミーティングを重ね、検討していきました。チラシ制作は、デザインが得意な呉屋愛花さん(首里高校2年)が担当し、プロ並みのかっこいいチラシが完成しました。
コロナ禍の中、合間を縫って練習や話し合いを重ねる
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本番3日前、練習に励む首里高校軽音楽部にお邪魔しました。
2部屋ある練習室を交代で使いながら、バンドごとに練習を重ねます。コロナ禍でなかなか全員が集まって練習する機会が取れなかったそうで、久しぶりにバンドメンバーが集まっての練習には力が入ります。
本番では、各バンドが1~2曲演奏します。「ふらむべるチーズ」というバンドで出演する森田茉鈴さんは、「今回のイベントはお客さんの年齢層が幅広いと思うので、CMやテレビなどで耳にする機会が多く、誰でも知っているなじみのある曲を演奏することにしました」と話し、客層に合わせた曲選びを心がけたそうです。
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本番当日!テント設営など、初めての会場準備に四苦八苦
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いよいよ本番当日の朝7時30分、首里高校・首里東高校・開邦高校のメンバーが続々と会場に集まってきます。
機材を運んでステージにセッティングしたり、テントを立てたり、イベント慣れした高校生たちも会場を一から準備するのは初めてのことが多かったようです。「これはどこに置くの?」「テントはどうやるの?」「重いよー。誰か手伝って」など、あちこちから楽しそうな、そして苦しそうな声が上がります。
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「Luna」というバンドで出演する石岡青彩さん(開邦高校2年)は、「会場準備から参加するイベントの経験はなかったので、テントを設営するのも今日が初めて。週末に1回程度しかみんなが集まって練習するチャンスがなかったのですが、今日は皆さんに楽しんでもらえる曲を2曲演奏します」とやる気満々。
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運営委員のメンバーで、「Nolimit」というバンドで出演する李雨宣さん(首里東高校2年)は、「小さいころに家族で遊びに来ていた首里城で演奏するなんて、とてもうれしいです」と笑顔で話しました。
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多くのお客さんが演奏に耳を傾け、大いに盛り上がった本番
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準備が進むうちにお客さんも集まってきて、いよいよライブスタート!トップバッターは、小学生バンド「スパイスミックス」のフレッシュでかわいらしい演奏です。
会場準備は初めてというメンバーたちも演奏は慣れたもの。けれどもこんなに大勢のお客さんがいるステージに立つ経験は少ないというバンドも多く、緊張しながらも楽しく演奏しています。首里城を訪れた観光客の皆さんも、子どもたちの力強い演奏に足を止め、手拍子を打ちながら応援してくれました。
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機材トラブルで一時休憩をはさんだりしたハプニングもありましたが、午後の部の司会の李さんと奥間あかりさん(首里高校2年)は、そんなトラブルにも慌てず、観客に状況を説明したり、バンドメンバーにインタビューしたりして、上手に場をつないでいました。
コロナ禍での配信経験も役立ったイベント運営
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高校生活3年間はコロナ禍真っただ中だった照屋睦喜さんですが、悪いことばかりではなかったと話します。「ライブハウスなどでお客さんを目の前にした演奏はなかなかできませんでしたが、オンライン配信したり、SNSを活用したり、身近な友だちだけでなく、世界中の人に広く発信できた3年間でした。撮影や動画編集にも慣れているので、今回のイベントの様子を自分たちで撮影し、イベント後に配信する予定です」と、コロナ禍ならではの経験が役立っているようです。
イベントの告知はチラシ配布だけでなく、各バンドのメンバーが自身のSNSを使って情報発信しました。「もっとうまく告知できたのではないかと思う部分もありますが、こんなにたくさんのお客さんが集まってくれて、大成功だと思います。みんながそれぞれ得意な部分を生かし、協力し合って準備しました」と話し、初めての企画運営を存分に楽しんだ様子です。
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最後はステージ前まで観客が集まり、会場が一体となって盛り上がりました。
イベント終了後の後片付けもみんなで協力し合い、最後まで高校生パワーがさく裂した楽しいイベントでした。
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オリオンビールを買ってくださった皆さまからいただいた利益の一部は、このような形で、コロナ禍で十分に活動できなかった地域の子ども達の大きな経験につながっています。
オリオンビールを応援してくださっている皆さま、そして、この舞台の実現にご協力いただいた全ての関係者の皆さまに、この場をお借りして、改めて深く御礼を申し上げます。
オリオンビールは、これから先も首里城復興と子どもたちのキャリア形成支援に努めてまいります。