「アルコール依存症」について全社員に学ぶ機会が必要
アルコール飲料は、古来から祝祭や催事、会食などさまざまな場面で楽しまれており、生活・文化の一部として親しまれています。一方で、連日多量飲酒をするなど不適切なお酒との付き合い方をしてしまうと、次第に飲酒量が増加し、量をコントロールできないような精神的な問題(精神依存)や、アルコールを摂取していないと手が震えたり汗をかいたりしてしまう離脱症状(身体依存)が見られるようになります。こうした状態が、いわゆる「アルコール依存症」です。
オリオンビールでは、適正な飲酒やアルコール依存症について、まずは社員が学ぶ機会が必要だと考え、アルコール依存症当事者の方にご協力いただき、オリオンビール全社員を対象にしたオンラインセミナーを開催しました。
飲酒に関する課題を抱える沖縄
沖縄県が実施した「適正飲酒推進調査事業(2016年3月)」によると、県民の飲酒者の割合は全国平均に比べて男女共に高く、男性90.6%(全国平均77.8%)、女性76.5%(全国平均53.8%)。全国平均に比べて男女共に、一度に多量のお酒を飲む人が多いという結果も出ています。また、肝疾患での死亡率、飲酒に絡む事故は全国ワーストで、男性の20歳未満の飲酒は全国平均の2倍と言われ、沖縄は飲酒に関する課題を多く抱えています。ここ沖縄に根差して成長してきた当社は、こうした課題に真摯に対応していく必要があると考えています。
患者本人が語る「アルコール依存症」の怖さ
セミナーでは、アルコール依存症となり、現在も治療中の患者本人に講師として登壇いただき、依存症になるまでの経緯や入院、現在の生活などについて語っていただきました。夜の仕事を中心に行っていたその方は、安くてアルコール度数が高いアルコール飲料を選び、不規則な時間帯での飲酒が増えるなどして、徐々に依存症の症状が現れたそうです。
依存症は心身双方に関わる“脳の病気”で、一生付き合っていかないといけません。さらに、家族や職場の同僚、友人関係に多大な悪影響を及ぼしてしまうことや、常に飲酒することで、大きな事故につながりかねないことなど、切々とアルコール依存症の怖さを語っていただきました。
家族からのアドバイスで治療を始めることになり、入院期間中は、今までの自分を振り返り、向き合う時間が作れたと言います。現在も治療中ですが、お酒以外でのストレス発散や食事内容の工夫など、治療のポイントも説明していただきました。
アルコールメーカーに求めること
お酒の上手な飲み方、付き合い方などアルコールメーカーが進める「適正飲酒啓蒙活動」に対して、講師からは「文言だけではなく、イラスト付きパンフレットや、テレビなどの特集番組、インパクトのあるCM、社外セミナーの実施などが効果的なのでは」「消費者が自身の飲酒習慣に不安を感じた際に、気軽に相談できる窓口があると良い」などと前向きな提案もいただきました。
このセミナーは、飲酒に関する課題と当社が果たすべき責任、そして私たちひとり一人がアルコール依存症を自分事として捉えていく必要性を改めて考えるきっかけとなりました。“お酒は長く、楽しく、健康的に”をモットーに、オリオンビールは、より良い飲酒文化づくりを目指して今後も取り組んでいきます。