南国ならではのフルーツの栽培が盛んで、マンゴー、シークヮーサー、パイナップルは生産量日本一を誇る沖縄県。実は、これらに並んで「アセロラ」の生産量も日本一であることをご存じでしたか?
1980年代にドリンクが登場して広く知られるようになった「アセロラ」ですが、飲み物、菓子、コスメなどの加工品は日常的に見掛けるものの、実際に生の果実を目にする機会は少ないのでは…?
それもそのはず、アセロラは果皮が薄く収穫後2~3日で傷んでしまうため、生果で沖縄県外に流通することは珍しいフルーツなんです。今回は、国内ではなかなかお目に掛かれないアセロラの歴史や効能など、その魅力を深掘りします。
60年以上前にカリブ海からやって来た「アセロラ」
アセロラは、西インド諸島やカリブ海周辺、南・中央アメリカが原産で、その地域の先住民たちは、古くからアセロラを「小さな赤い宝石」「神の果物」と称して庭に植え、健康維持や病気治療用として食していたそうです。
その後、15世紀の大航海時代にスペイン人やイギリス人によって世界へ広められました。日本では1958年(昭和33年)に、「沖縄熱帯果実の父」と呼ばれたハワイ大学教授のヘンリー仲宗根氏が、名護市の農業試験場に数本の挿し木を植えたのが発祥で、1980年代に入り本格的に栽培が始まりました。
現在、沖縄県はアセロラの露地栽培の北限で、生産量の全国シェアは約100%(※1)。主に熱帯や亜熱帯気候の地域に自生している果物なので、沖縄の温暖な気候や土壌が栽培に適しており、本部町(もとぶちょう)、今帰仁村(なきじんそん)、糸満市、石垣市など県内各地で栽培が行われています。
(※1 農林水産省調べ。集計に反映されない小規模な生産地が各地にあります)
中でも、沖縄県から拠点生産地として認定されている本部町での生産が盛んで、町はアセロラの認知度を高めていこうと「アセロラの日制定委員会」を発足し、収穫が始まる5月12日を「アセローラの日」に制定しました(本部町ではアセロラを「アセローラ」という名称でブランディングしています)。町内にはアセロラの畑が点在し、収穫体験ができる施設もあります。
沖縄の眩しい太陽をたっぷり浴びたアセロラは、爽やかな甘酸っぱさが特長。旬となる5~11月頃には、レストランやカフェなどでアセロラを使ったメニューも味わえます。全国商工会連合会が主催した「日本全国おやつランキング2015」で日本一に輝いた、株式会社アセローラフレッシュの「アセローラフローズン」は要チェックです。
果物の中でもビタミンCの含有率が断然トップ!
ビタミンCが豊富なことが知られているアセロラですが、その量はレモンの34~35倍(100g当たり)もあることをご存知でしたか? 強い日差しが降り注ぐ地域で育つアセロラは、紫外線から自身を守るために大量のビタミンCを合成しているといわれ、果物の中でもビタミンC含有率は断トツ! サクランボのように小さくかわいらしい果実の中に、レモン4~5個のビタミンCが含まれているというから驚きです。
ビタミンCは抗酸化作用を持ち、皮膚や粘膜の健康維持を助ける美容効果や、免疫力や抵抗力を高める効果を持つ栄養素ですが、アセロラにはビタミンCはもちろんのこと、アントシアニンやケルセチンといったポリフェノールも多く含まれています。
ポリフェノールにも抗酸化作用があり、老化や病気予防の働きがあるので、ビタミンCとポリフェノールの相乗効果も期待でき、ほかにも葉酸やカリウムも比較的多いので、アセロラは、風邪予防、美肌効果、貧血予防、高血圧予防、動脈硬化予防など、多彩な効能を持つスーパーフルーツ。季節の変わり目や風邪を引きやすい冬場などには積極的に摂ることをおすすめします。
貴重なフルーツに出合える沖縄の旅
沖縄ではアセロラを素材にした土産品も多く観光客に人気ですが、旬の時期には、沖縄県内の道の駅やファーマーズマーケットなどにアセロラが並びます。時には民家の庭先に植えられていたり、畑の周辺や道端に自生していることも。
日持ちしない生の果実は希少で、南国らしいトロピカルな香りと風味が楽しめます。アセロラをはじめ、希少なフルーツに出合えることは沖縄旅行の醍醐味ですので、次の旅行の際にはぜひチェックしてみてください。
【参考文献】「沖縄食材図鑑」(NPO法人食の風監修、楽園計画)、「熱帯くだもの図鑑」(財団法人海洋博覧会記念公園管理財団 ※現・沖縄美ら島財団)
【参考サイト】くゎっちーおきなわ 農林水産物データベース、沖縄観光情報WEBサイト おきなわ物語 沖縄食材図鑑
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