沖縄でもほかの地域同様、人生の節目節目で独特の祝いごと・生年祝い(沖縄方言でトゥシビー)を行います。今回は、数あるトゥシビーの中でも、数え年97歳の長寿を祝う「カジマヤー(カジマヤーユーエー)」を紹介します。
※ユーエーは沖縄の言葉で「お祝い」という意味です
「カジマヤー」はどんなお祝い? その意味や起源を紹介
カジマヤ―は沖縄の「トゥシビー」と呼ばれる生年祝いの一つ。自分の干支の年回りに、無病息災を願います。旧暦の9月7日に行われ、2022年は10月2日に行われます。
数え年で13、25、37、49、61、73、85、97歳がトゥシビーの対象ですが、カジマヤ―はその最後の祝い。カジマヤー以外のトゥシビーは正月(旧暦)の初めに行われますが、カジマヤーは祝う年齢(97)にちなんで9月7日に行われます。
もともと、97歳という年齢は「厄年」に当たるという考え方などから、祝いごとではなかったようです。現在では「61歳を越えるとめでたい節目の年」という考え方に変化してきました。カジマヤーについては、現在では一般的に“最高の長寿祝い”として認識されています。
また、「カジマヤー」は沖縄の言葉で「風車」を意味します。「カジマヤーユーエー」の名前の由来は、老齢になると人は童心に返り、カジマヤー(風車)で遊ぶようになるという考え方からきているといわれていますが、別の説では、昔は模擬葬式を行い、カジマヤーを迎える人を手製の車に乗せて集落の7つの十字路を回った儀礼に由来するともいわれています。(諸説あり)
集落全体で長寿をお祝い! カジマヤーの盛大なパレード
自治体が主となり、盛大にカジマヤーのお祝いをする地域もあります。住民総出でのパレード(道ジュネー)はカジマヤーの名物になっていて、その様子がテレビや新聞などに取り上げられることも。
パレードはカジマヤーを迎えた主役のおじぃやおばぁがカラフルに装飾されたオープンカーなどに乗ってスタート。「花ぬ風車」という沖縄の童歌や三線、太鼓の音に合わせて、オープンカーを中心とした隊列がゆっくりと集落を回ります。
地域の人や子供たちも沿道から風車を持ってお祝いします。97歳を迎えるおじぃやおばぁたちはこの日、お祝いの言葉とともに握手を求められることも。握手をすることで、みんなでその長寿にあやかります。
パレードの後は地域の公民館などで盛大な祝賀会が行われることも多いようです。
カジマヤーの際の拝みについて
カジマヤーは華やかな集落行事であるとともに、神様やご先祖様にも拝みを捧げます。
ヒヌカン(火の神)、トゥクヌカミ(床の神)など沖縄の家の各所を司っている神や、トートーメー(仏壇)にお線香(ヒラウコー)をあげ、赤飯、白餅、お酒などのごちそうを供え、お祝いの報告とこれまでの感謝、今後のさらなる健康を祈願します。
カジマヤーというと、前述したパレードや祝賀会の様子が取り上げられることが多いですが、家庭でもしっかりとヒヌカンや仏壇へ拝みを捧げます。
いつまでも守っていきたい長寿のお祝い・カジマヤー
全国的な長寿のお祝いというと、米寿(88歳)や白寿(99歳)などが有名ですが、今回は沖縄独自の長寿のお祝い・カジマヤーについて紹介しました。
沖縄の生年祝い(トゥシビー)の中でも一番盛大にお祝いされるといわれるカジマヤー。
元気なおじぃやおばぁが多い沖縄で、敬意と感謝の気持ちを込めて行われるカジマヤーの伝統は、沖縄県民にとってはいつまでも守っていきたいものの一つです。この機会に、沖縄独自の長寿のお祝い文化について学んでみませんか。
参考図書:「沖縄祝い事便利帳」(座間味栄議著、むぎ社)、「沖縄 暮らしのしきたり読本 家族まるごとお祝い福マニュアル」(比嘉淳子+チームくがに著、双葉社)
参考サイト:【沖縄の御願】生まれ年の厄払い「トゥシビー」の基礎知識、沖縄のカジマヤーユーエー☆長寿を報告する御願とは、かじまやーで祝う九十七歳☆家庭で進める祝辞の手順
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