オリオンビールのプレミアムクラフトビール「75BEER(ナゴビール)」の第3弾「75BEER-ヴァイツェン」が数量限定で発売されます。
オリオンビールの工場がある沖縄・名護の地で、地元の人たちの声から生まれた「75BEER」。その後、沖縄でシークヮーサーを育てる人たちを巻き込んで第2弾「75BEER-IPA」をリリース。
そして、今回は戦前、沖縄で行われていた麦の栽培復活を目標に活動する麦農家さんたちの熱い思いと共に「75BEER-ヴァイツェン」が生まれました。
「75BEER」ブランドの立ち上げから商品開発に携わっているオリオンビール株式会社R&D部ビール商品開発部 課長補佐の大城敬一郎(おおしろ・けいいちろう)さんに、「75BEER」ブランドと「75BEER-ヴァイツェン」の誕生の背景を聞きました。
「75BEER」ブランドは地元が一丸となって作られた
「75BEER」は、当時、名護の工場で取り組んでいた醸造技術向上チームでのプロジェクトを進める中で、地元の十字路商店連合会の皆様と、ビールの町・名護ならではのビールを造りたいというビールの作り手双方の思いが一致したことがきっかけでした。
2017年10月、名護十字路商店連合会主催で、ビール工場のある街として、ビールを切り口にさまざまな活性化策を語り合う会が開催されます。
大城さんは当時を振り返り、「醸造技術向上チームと商店街の皆様との打ち合わせや、ビールの製造方法等の勉強会を繰り返しながらビールの味のイメージを固めていきました。並行して試醸も10回程度繰り返して、イメージ通りの味わいに近づける努力をしていきました」と語ります。両者は思いを一つに、協力しながら開発を進めていきました。
名護の夕日を連想させる色合いと、シークヮーサーの香りを目指して
議論の末に固まったコンセプトは、「名護の夕日を連想させる色合いとシークヮーサーの香りを連想させる、ホップの香りが感じられるしっかりした味わいのある本格ビール」。
このコンセプトを実現するため、オーストラリアで栽培されている希少ホップを使用し、専用のビール酵母を選定。また、夕日を連想させるアンバー色を出すために特殊麦芽を採用しました。
そして、2018年8月、これらの厳選した原料と醸造家が手数を掛けて作ったビールを仕込み、10月に名護限定で発売。好評を受けて、翌2019年12月には沖縄全県で発売されます。
クラフトビールを通じて、沖縄の素材を発信して、地域に貢献していく
「75BEERは、当社初のプレミアムクラフトビールとして発売しました。クラフトビールとは、100を超えるビールのスタイルを基本に、各ビールメーカーが個性を出しながら手間暇掛けて造り上げるビールのことです。当社のクラフトビールの考えとしては、沖縄を感じる素材を使うことにこだわり、沖縄ならではのクラフトビールに仕上げております。出来上がったビールを通して、沖縄を感じ、沖縄の素材を発信していくことも使命だと感じています」と、ここでも先人たちが作り上げたオリオンビールの理念がしっかりと受け継がれています。
そして、「ヴァイツェン」へ
「ピルスナー、IPAの次はヴァイツェンだよね」と、自然な流れで次のスタイルが決まっていきました。
「市場調査でもIPAの次に期待されているスタイルがヴァイツェンだったのでそれも後押しになりました。開発のイメージも苦味が低く、フルーティーな味わいにしてほしいという社内チームの要望もあり、社内調査等を繰り返しながら開発を進めました」と、沖縄のクラフトビールにかける開発者の手は止まるところを知りません。
こうして、「75BEER-ヴァイツェン」の火種が起こります。
運命的な“かなさん”との出会い
ちなみに、今回発売される「75BEER-ヴァイツェン」の「ヴァイツェン」はドイツ語で「小麦」のこと。ヴァイツェンビールは“小麦ビール”とも呼ばれ、苦みが少なく、フルーティーな香りと味わいが特長です。
ヴァイツェンスタイルなので沖縄の小麦を使いたいという考えから始まりました。リサーチを進める中で、開発陣は沖縄県麦生産組合が作るブランド麦「島麦かなさん」に出合います。
「『島麦かなさん』はまだ知名度こそ高くはありませんが、沖縄本島で昔から続けられてきた小麦栽培を現在に引き継ぎ、小麦の品質を考え、無農薬で化学肥料を使用しない、安全で安心な原料であることが大きなポイントです。『島麦かなさん』の豊かな香りを残しながらヴァイツェンらしいフルーティーな味わいに仕上げることが最大の難関でした」と、地元、生産者、開発者の三者の思いを最高の形にする…毎度のことながらも、開発陣の真価が問われるシーンです。
「ヴァイツェンは、フルーティーさだけではなく、クローブやバニラの香りが感じられることも特徴で、イメージに合った香りを出す酵母選定も重要視した点です」と、さまざまな視点から商品開発を進めていきました。
麦生産者×ビール開発者
生産者に会った大城さんは、いい意味で開発者としてのプライドを大いに刺激されました。
「生産者の皆様とお話しする中でまず感じたのが、沖縄で戦前に行われていた小麦栽培の歴史を現在までつないでいるという熱い思いでした。誇りをもって育て上げた小麦に応えられるビールを作らなければいけないという責任も感じながら開発を進めていきました」と、開発者としてのギアが一段上がります。
沖縄県産小麦の魅力を最大限生かすため、手間暇かけて
開発段階でも香りを最大限に生かす手法で頭を悩ませることとなります。
「試醸を行っていく中で、粉砕した直後に小麦の風味を強く感じることが分かりました。本製造時に大量の粉砕を手作業で行うことは非常に大きな手間がかかります。当然、懸念の声も上がりましたが、今回のヴァイツェンは小麦がポイントです。小麦の加工も徹底的にこだわりたいという思いが伝わり、製造チームは直前の粉砕作業に協力してくれて、沖縄県産小麦の風味を最大限に生かす製造方法で仕込みが行えるようになりました」と、開発担当者と製造担当者の思いも一致!
「風味が豊かな『島麦かなさん』の魅力を最大限生かすために、今回は仕込み直前に名護工場で粉砕し、全紛として使用。その結果、麦芽の穀物感とは違った柔らかい穀物感が出て優しい味わいに仕上がっていると思います」と、大城さんは「75BEER-ヴァイツェン」の仕上がりに自信を見せます。
「75BEER‐ヴァイツェン」いよいよ発売開始!
「75BEER-ヴァイツェン」は、11月17日(火)からオリオンビールの公式通販サイトにて350ml缶の先行予約後、11月24日(火)から名護市で開催されるイベント「BEER HOPPING」で先行発売。12月1日から沖縄県内を中心に一般発売されます。
発売を目前に、大城さんは「ビールの苦味が苦手なお客様に飲んで頂きたいです。フルーティーな香りとクローブやバニラの香りで柔らかな味わいを感じることができるので、のどを潤す楽しみよりは、夜を楽しみながらゆっくりと飲んで頂きたいです。寒い冬に食べる鍋料理との相性も良いです。また、甘い香りが特徴なので、デザートとも合う数少ないビールスタイルだと思います」と、出来上がった我が子がかわいくて仕方のない様子です。
「75BEER」と「ヴァイツェン」の今後と夢
「展望の一つが循環型のビール作りです。ヴァイツェンで使用している沖縄県産小麦についても、ビール作りで発生したビール粕で堆肥づくりを行い、その堆肥で畑の土づくりをして、その畑で小麦を栽培、収穫された小麦をヴァイツェンに使用していくことが展開できればと考えております」と、持続可能なビールづくりも視野に入れています。
「75BEERは、オリオン初のプレミアムクラフトとして、クラフトビールの楽しみを発信していきます。さまざまなビールのスタイルを紹介しながらビールの楽しさを広げていきたいです。そして、“沖縄でハレの日に飲むビールは、やっぱり75BEERだよね”というようなブランドになれるように、日々おいしさを追究したいです。また、沖縄でこだわりをもって手間暇掛けて作られた素材を生かしながら、ビール職人がつくる最高のビールを提供したいと思います」と、大城さんの挑戦の日々は続きます。
小麦の作り手、ビールの開発者と作り手、沖縄のクラフツマンたちの思いが詰まった「75BEER-ヴァイツェン」を、ぜひ味わってください。
75BEER-ヴァイツェンはオリオンビール公式通販で購入できます。
公式通販では先行予約も受付中。数量限定ですのでお早めに!