アートが繋ぐ、サステナブルな社会。

rubodan 儀間朝龍さん

「SDGs」という認識が広まるずっと前から、アートによる環境問題や福祉、教育とのかかわりを思い描き実現してきた「rubodan(ルボダーン)」の儀間朝龍さん。オリオンビールの段ボールをアップサイクルしたノートやレターセットなどの商品もすっかりお馴染みとなり、儀間さんのアートワークは全国各地のブランドやクリエイターから注目されています。2024年10月には東京新宿区のBEAMS JAPAN B GALLERYにて個展を開催。また、展示会でも人気であったオリオン ザ・ドラフトの段ボール作品をモチーフにした、オリジナルTシャツを当社ECサイトにて発売します。

これを機に、儀間さんが長年提起してきた「アート」と「環境・福祉」について、オリオンビールサステナビリティ・広報部がお話を伺いました。

BEAMS JAPAN B GALLERY での個展「SOME POP 2」にて

POP ARTとの出会い。「530(ゴミゼロ)の日」に生まれた宿命?!

中学生のころから本格的に絵の勉強を始めた儀間さん。様々な芸術作品に触れる中で、『POP ART』という書籍と出会い、アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンシュタインの作品に衝撃を受けたそうです。

また高校、大学と美術を専門的に学びながらも、儀間さんは常に環境問題にも関心を寄せていました。

「僕の誕生日は5月30日(ゴミゼロの日)なんです。なのでずっと、環境問題やゴミ問題も気になります。例えばアクリル絵の具で絵を描くときに、その絵具が水で流されて環境を汚染すること、絵の具のチューブがゴミになって廃棄されることなんて考えると、絵を描くたびに罪悪感にさいなまれてしまって(笑)・・・。」

環境へのダメージを軽減した創作活動ができないかと模索していた中、転機が訪れたのは、那覇の公設市場にアトリエを構えていた2009年のこと。

雨の公設市場。道端でぬれていたダンボールの端がめくれているのを見た儀間さんは、「段ボールを水に浸すと、簡単に紙として分離できる」ことを発見しました。その紙に色鉛筆で絵を描いたり、コラージュ作品を制作した後、ステーショナリーなどの商品開発を思いつきました。街角に溢れた個性豊かなデザインの段ボール箱が次々と、ポップなノートやステッカーに。儀間さんはその製法に「SIMPLE PAPER MADE(シンプルペーパーメイド)」と名付けました。

集めた段ボールを、一枚一枚、水に浸して、上部の薄い紙をはがして作品の素材にしていく

「SIMPLE PAPER MADE」の製法を世界に。

SIMPLE PAPER MADEのアイディアが注目され、儀間さんは2010年、JICA沖縄企画の派遣事業に声がかかり、サモアを訪れました。

サモアは海外から段ボールに入れられた物資が毎日のように届くのに、当時はゴミを処理する工場もなく、リサイクル処理もされないまま、ほかのゴミと一緒に山に埋められる、という状況だったそうです。また、サモアの学校には美術の授業がありませんでした。

サモアの子供たちとのワークショップの様子 提供:SIMPLE PAPER MADE PROJECT
提供:SIMPLE PAPER MADE PROJECT
こどもたちの作品を展示した、おそらくサモア初の校内美術館 提供:SIMPLE PAPER MADE PROJECT

「 “SIMPLE PAPER MADE”の製法をサモアの子供たちに見せながら、段ボールの紙に一緒に絵を描くワークショップを開催しました。現地の先生に『ゴミも減らせるし、環境の教育にもなる』と、とても喜ばれたんです。とってもうれしかった。校内に小さな美術館も作りました。そんなサモアでの経験を機に、この製法を世界中に広めたいと思ったんです。そして、しっかり商品化することで、こんな風に作った商品が、こんなに売れるんだよという製法とアイディアを広めてくために、ブランド「rubodan」2011年5月30日に立ち上げました。」

オリオンビールの様々な商品が梱包された段ボールが、rubodanによって、こんなにポップで素敵なノートやレターセットに

「ゴミを減らして、雇用を増やす」のコンセプトを、沖縄ブランドとして発信したい

儀間さんはこれまで、県内外やアジアの国々の子供たちや障害を持つ方々とのワークショップや商品の共同開発などを通してこの製法を展開しています。

そして現在は沖縄県内の福祉施設や就労支援センターにこの工程を業務委託し、rubodanの商品を生産しています。

そのひとつ、「てるしのワークセンター」で働くお二人は、儀間さんとタッグを組んで6年目とのこと。そのひとり、前田さんは「はじめのうちは、どうやってまっすぐ切れるかわからず、緊張したけれど、何度も練習してできるようになりました。こうして役に立っているのがうれしいです」と話してくれました。サービス管理責任者の新垣さんは「作業の発注が増えると、みなさん嬉しそうにされます。得手不得手がありながらも、各自がひとつひとつの作業に向き合って、商品を完成させていくことにやりがいを感じているようです」と目を細めます。

職人さんたちと真剣に、制作の手順について打ち合わせをする
細かなディレクションにも、信頼をおける技術でしっかり応えてくださる
左から、てるしのワークセンター サービス管理責任者の新垣さん、作業員の上里さん、前田さん。完成した作品と共に

「企業の皆さんが、熱い思いを込めて、力を尽くしてデザインしたロゴだからこそ、簡単に廃材にはしがたい魅力があります。いつかはゴミがゼロになるまで、今後も廃材を再利用するアイディアは生み出していきたい。そのためにも、いろんな場所でrubodanを手にしてくれた人々に、廃材のアップサイクルのアイディアが伝わり、その先の誰かの新しい仕事が生まれる機会が増える、そういう流れをしっかり作っていかなければと。」

 儀間さんは、そう話しながら、アトリエに溢れる様々な段ボールの素材や作品を見せてくれました。

これまで手掛けたたくさんの作品に囲まれた、ギャラリーのようなアトリエ。愛猫も同席してくれた

「rubodanというひとつのブランドとしては、できることにも限りがあるんです。でも、沖縄はローカル・パワーがあって、地域性が強いものほど、全国的に人気が高いですよね。このブランド力を生かして、今後はオリオンビールさんを筆頭に、県内の様々な”沖縄ブランド“の皆さんと連携してrubodanを通した『環境と福祉』の取組がもっと活発になるような機会を作っていければいいですよね。」

オリオンビールの様々な商品の段ボールもrubodanによってまた新たな魅力と役割をもって、沖縄からどこか私たちの想像を超えた旅路をたどると考えると、胸が躍ります。

そんな儀間さんのアートをもっとたくさんの方が手に取ることで、生産者(=はたらきがいを感じる人々)が増え、そしてまた多くの作品や商品を制作する(=廃材が活用される)ことにつながります。儀間さんのビジョンが唯一無二の個性となった、サステナブルなアート。社会に、地球に、rubodanのやさしさが循環します。

そしてこの秋、rubodanのオリオンビールロゴ作品をモチーフにした、迫力あるカッコいいTシャツが完成!「アーティスト・儀間朝龍氏コラボ  プレミアオリオンTシャツ・デザイン」が、10月30 日よりオリオンビール公式ECサイトにて限定発売されます!

一点ずつ、シルクスクリーンによる印刷で、絵柄の凹凸や、胸元に光る星など、作品の風合いがそのままTシャツに表現されています。てるしのワークセンターの職人さんたちと手掛けたオリジナルケースには、なんと儀間さん直筆のサイン入り!

ポップアートになったロゴが目を引くオリオンTシャツ。芸術作品のような一枚です。

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